ジブリパークのすみっコに_80年代の面影

2022年10月12日から公園北口広場のメインゲートが利用開始となりました。

Parra for Cuva & Anna Naklab – True Thoughts (Original Mix)

取り残されたひろば

メインゲートの4本の柱には、ブロンズ製オーナメントがそれぞれ配置され、

1970年:愛知県青少年公園開園
2005年:愛知万博会場
2006年:モリコロパーク開園
2022年:ジブリパーク開園

開園を含めた4度の大きな記念の年が刻まれています。

ところが、

今回のジブリパーク開園という流れに取り残されたのが、ジブリパークエリア外の西のすみっこにある「こどものひろば」。

この「こどものひろば」は、愛知県人なら幼い頃に一度は訪れたことのある懐かしい子供用公園施設です。

そして愛知万博記念公園の来園者のうち最も高い割合だったのが、この「こどものひろば」にある児童総合センターや自然体感遊具を利用する子ども連れでした。

ジブリパーク開園後どうなることやらと心配していましたが、「こどものひろば」にある芝生広場について、

開園後、とても嬉しいことは、エリア外の愛・地球博記念公園を訪れて下さる方々の姿を見ることです。今日も芝生広場では、多くの方々がお弁当を広げています。 ジブリパークは、森と公園が長く続くようにという願いから生まれました。これからも、エリア外に沢山のお楽しみをつくってゆきます。

2022年11月5日  ジブリパーク GHIBLI PARK Twitter

(この広場がジブリの大倉庫前の大芝生広場ではなく本当の芝生広場のことであれば、)子ども連れの来園者は「こどものひろば」を愛用し続けているようです。

こどものひろばについては10年以上前から議論されていますが、

こどものひろばを利用する来園者の割合は公園の中でも最も高く、その多くは愛知県児童総合センターや自然体感遊具を利用している子ども連れであるが、現状の施設だけでは、大幅な集客の増加は望めない。このため、子どもだけでなく大人も楽しめるような魅力を持った施設機能を複合的に整備することにより集客力の向上を図る。 とりわけ、愛知国際児童年記念館が平成23年に閉館するにあたり、貸館機能は地球市民交流センターの供用開始により代替されるが、こどものひろばエリアでの全天候型施設が愛知県児童総合センターだけとなることもあり、代替機能の必要性を検討していく。

2011年「こどものひろば整備の基本的考え方 愛知県」

残念ながら、2022年の時点でも整備状況は半分ぐらいといった状態です。

今後、ジブリパーク屋内施設での物語やディティールのこだわりが分かる年齢に達していない幼児と保護者ために、こどものひろばでジブリの世界を補完的に体感できる施設としての役割も必要になってくるでしょう。

(一部はもののけの里前の大芝生広場の一部に予定されているようですが、体感施設としては中途半端な気もします。)


80年代の面影

さて、

その「こどものひろば」の芝生広場の近くには、東海エリア最大級の高さ88mの大きな観覧車があります。

芝生広場と大観覧車

その大観覧車に乗り込んで公園内を眺めていると、児童総合センターと芝生広場のあいだになにやら懐かしい動物の姿が。

気になって寄ってみれば、それは懐かしいコンクリート製の動物遊具。

ライオン、サイ、チータ、ゾウ、シマウマ、キリンなどの見覚えのある動物達の姿に、かってここに児童遊園や児童館があったことを思いだしました。

しかし、以前ここを訪ねたのは、子供たちが幼かった80年代後半。

周囲を見渡しても景観がかなり変わっていますので、かつての施設がどこにあったのか分かりません。

記憶にあるのは80年代後半の児童遊園。児童総合センターではなく「児童館(こどものいえ)」があった頃の姿。

青少年公園だった頃の児童施設で遊んだ子供の頃のことをを覚えている方もすでに30歳を超え、親だった自分はもう当時の祖父と同じ年頃です。

いったい何処にあってどのような姿をだったのでしょうか。


児童遊園の変遷

このこどものひろば(児童遊園)、最近は落ち着いていますが大体10年毎に変化しています。

1970年代

・1970年11月 – 愛知青少年公園開設

明治100年を記念して青少年の健全育成と勤労青少年の総合レクリエーションための総合施設・公園・児童厚生施設として開設。

(ちなみに今年2022年は明治155年、大正111年、昭和97年、平成34年)

植栽されたばかりのシュロやココスヤシ、輝くシンボルのポールに時を感じます。

開園は大阪万博が開催された年と同じ1970年(そして35年後には愛知万博の会場の一部にもなりました。)

・1971年 – フジパン「ロボット館」移設

1980年代

・1981年 – 愛知国際児童年記念館設置

国際児童年集中記念行事「世界と日本のこども展」が開催されたことを記念し建設されました。

愛知国際児童年記念館にあった時計台。(1987年)
児童総合センター内童話館「メルヘンプロムナード」(1987年)

1990年代

・1993年 -「ロボット館」が老朽化のため解体
・1996年 – 児童総合センター設置

環境デザイン研究所HPより(1996年)

児童総合センター設置に伴って地形や道路の変更が行われ、既存施設の児童館(こどものいえ)は解体、児童遊園も半分ほどの大きさとなりその姿は一変します。

2000年代

・2000年 – 2005年日本国際博覧会会場として選定
・2002年 – 愛知青少年公園閉園
・2005年 – 愛知万博開催

愛知万博ではわんぱく宝島ゾーンとして利用された児童総合センター(2005年)

万博開催に伴い再び地形や園路の変更が行われ、残されていた児童遊園やゴーカート場も姿を消します。

・2006年 – 「こどものひろば」として、旧遊びと参加ゾーンの部分が再開園

2010年代

・2011年 – 愛知国際児童年記念館が解体


児童遊園だったころ

愛・地球博記念公園の変遷-[Network2010]

ビデオで紹介される2003年頃の映像には、すでにが温水プール・アイススケート場が開設されていますが青少年公園時代の雰囲気はまだ残されています。

それ以前の懐かしいコンクリート製の動物遊具たちが主役だった頃の姿はどの様だったでしょうか。

現在の風景に手元に残された1987年から1992年にかけてのビデオに残された風景を重ねて80年代の面影を探してみましょう。

1987年

かなり公園内の配置が変わっているようですので、当時の児童遊園の姿を思い出すため、現在の建物のアウトラインを1987年の航空写真に重ねてみました。

2021年
1987年

現在、円形テントの休憩施設となっている旧園路の交差点に対して建物の配置が北西に移動していることが分かります。

それでは、この配置を頭に入れて現在の風景に時を重ねた80年代の児童遊園へと向かいましょう。

青少年公園北口

愛知万博記念公園北口
航空写真(1987年)

当時、青少年公園へのアクセス手段は自家用車かバスしかありませんでしたので、エントランスは出入り口道路と降車場、駐車場を結ぶラウンドアバウト交差点が中心でした。

青少年公園だった頃のランドマークは時計台。

園路を西へ

青少年公園入口からココスヤシの並木を西方向へ。

並木が印象的だったココスヤシ。わずかですが、まだ動物広場に健在です。

愛・地球博記念館前

現在の愛・地球博記念館前を通り過ぎて、

当時は直線だったサイクリング道路を跨ぐ橋を渡って児童遊園への道に。

北駐車場脇

北1駐車場

さらに駐車場に沿って西方向へ。

航空写真(1987年)

噴水広場

児童総合センター東側入口(2022年)
以前の児童館に較べて児童総合センターは建物1階分掘り下げられていますので、東側入口は建物2F、南側入口からは1F(地階)から入ります。
1988年

噴水広場が見えてきます。ここが児童遊園の入り口。

噴 水

水のひろば(2022年)
噴水(東側)
噴水(西側)

水のひろばを跨ぐ空中廊下あたりの上空に噴水があったことになります。

児童館(こどものいえ)

2022年
1989年

児童総合センターの円筒建物の東南角の芝生のところに児童館(こどものいえ)がありました。

噴水広場園路

2022年
1989年

当時の園路は、現在の児童総合センター館中央2階部分の高さのところを東西に通っていました。

フジパンロボット館

2022年
1989年

1993年まで大阪万博に出展されたパビリオン「フジパンロボット館」が移設、設置されていました。児童総合センター館西側奥の「あそびステーション」の外側、北西角の芝生のあたりにあったようです。

ロボットショー劇場

2022年

展示されていたロボットの一部は館内のロボットシアターに展示されています。

なかでも人気だったのは、スタンプロボットの「ポンちゃん」

1989年

児童遊園

航空写真(1987年)
児童総合センター館「とことこのへや」西側外(2022年)
航空写真(1987年)

奥に児童総合センター館中央2階の高さから西に向かって坂になっていたロボット館前の園路。

1987年

ロボット館手前左側の坂道の階段を下ると、児童遊園に着きます。

コンクリート遊具

2022年

児童総合センター館中央から円形テントの休憩施設にかけてコンクリート遊具がいっぱい設置されていました。

1990年

すべり台と円柱の渡り石で結ばれていた砂場、箱型とさんご型のコンクリート遊具。

ピエロのすべり台

児童遊園へは、児童館横に設置されたすべり台からも行くことができました。

2022年

児童総合センター館は中央から手前(東側)を児童館のあった高さから建物一階分を掘り下げていますので、児童館は現在のセンター館2階の高さのところにあったことになります。芝生の前庭中央から西側に向かって勾配30%の急な坂になっていて、ピエロのすべり台が設置されていました。

ピエロのすべり台は長く途中に踊り場が、

児童総合センター館「とことこのへや」

現在の「とことこのへや」(中央白い柱)の建物横の5mぐらい下にすべり台の終点だった砂場がありました。

動物広場

児童館の南側、愛知国際児童年記念館とのあいだにコンクリート製の動物遊具の広場がありました。

園路の交差点

児童遊園西側の園路が交差していたところに新しく設置された円形テントの休憩施設。

モスバーガー

ちなみに休憩施設にある「モスバーガー」のフランチャイズ第1号店は地下鉄が新瑞橋に延長される前年の1973年に開店した名古屋市瑞穂区の新瑞(あらたま)店(直営第一号店は成増店(東京都板橋区))。当時、時々寄っていました。

乗り場広場

児童遊園にはゴーカート・ベビーゴルフ場・子供用電動カート・子供用サイクリングコースがありました。

児童遊園からゴーカートコースを跨いだ階段を下りれば、そこは夢の乗り物広場。

左手に子供用自転車場、右手に子供用電動カート場、奥にはゴーカートが走っていました。

子供用電動カート場

向こうの白いパネルのところにはゴーカートの発着場

子供用自転車乗り場

子供用電動カート場に隣接していたのが、子供用自転車乗り場

子供用自転車場の南側コース先は現在のりもの遊園地となっています。

大観覧車に乗り込んで見つけた懐かしい動物の姿が、過ぎてしまった30年という年月の風景を久しぶりに思い出させてくれました。


本日の一曲

Attom – Lagoon

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