ハイウェイ192号線_『フロリダ・プロジェクト』_ハートへの直球

最近は話題の新作を追いかけることもなく、新旧問わずにそのときに目の前に現れた映画を観るという「必然の偶然」を楽しむスタンス。

2018年 5月公開ということなので、話題としては少々遅いのですが、今回は『フロリダ・プロジェクト(真夏の魔法)』。


Kool & The Gang – Celebration(Official Video)1979年


真夏の白昼夢

まだ真夏の陽気が続いていたある日の午後、何か面白い映画はと、プライム・ビデオの洋画タイトルリストからたまたま選んだのがこの映画。

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タイトルに「魔法」という文字のある映画はいつもは敬遠するのですが、何となくボタンを押してしまったのです。

 

ところで「フロリダ・プロジェクト」ってなんだろ。

フロリダ半島で思い浮かぶのは、マイアミ・ビーチ、セブンマイルブリッジ、サンシャイン・スカイウェイ・ブリッジとダリ美術館、ケネディ宇宙センター、エバーグレーズ国立公園、デイトナビーチといった周辺部。

ついでに中央部のディズニー・ワールド・リゾートいったところか。

(後で調べたところ「フロリダ・プロジェクト」とは、ディズニー社が2番目のディズニーランドをフロリダ州オーランドに建設する計画のことでした。)

なんて考えているところで、オープニングが始まりました。

階段下のパープルの壁のタイトルバックに流れ始めたのは、クール&ザ・ギャングの「Celebration」。

それは、クラシック・ディスコファンのハートへの直球でした。

 

「今作の中で一番意味合いが強い楽曲はやはり冒頭の『Celebration』です。何故かというと『Celebration』から始まることによって観客は明るい物語なのかなと思うかもしれない。ところが物語が進んでいくと最初に思い描いたような明るい世界とは全く違う現実を突きつけられるので、そこを狙って『Celebration』を使ったんです。
『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』ショーン・ベイカー監督来日インタビュー_SCREEN ONLINE

そこに子供時代を過ごしたの60年代の昭和な世界が重なります。


The Florida Project | Official Trailer HD | A24

冒頭の階段下のシーンだけで、子供の頃の隠れたり探検する場所がたくさんあった団地生活がフラッシュバックしてゾクゾクしました。

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そして、新しい入居者がきたということだけで、大事件が起こったように街を駆け抜ける子供たち。

バックには広く青い空と緑溢れる空き地に点在するカラフルでポップな建物の風景。

あれから半世紀が過ぎてもこんな世界がまだあって、当時と違うこんなカラフルな場所が現実にあるなんてビックリ。

さらに、エライアス軍曹の登場。

プラトーン(1986年)エライアス・グロージョン3等軍曹、7月4日に生まれて(1989年)チャーリー役のあのウィレム・デフォーがマジック・キャッスルの管理人ボビー・ヒックスとして登場。

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プラトーン(1986年)では主役のチャーリー・シーンよりエライアス軍曹のファンでした。

 

Platoon Soundtrack – Adagio for Strings

 


どうやら監督の目論見(もくろみ)に見事にはまってしまったようで、一気に没入してしまいました。


 

夢から目覚めて


The Florida Project Should’ve Been Nominated


マネーは踊る

マイケル・ムーア監督の『Capitalism: A Love Story(キャピタリズム~マネーは踊る~)』はアメリカ社会の搾取の実態を見せていました。


Capitalism A Love Story キャピタリズム~マネーは踊る~(2009年)

『フロリダ・プロジェクト』は、そこで家を失い置き去りにされた、住宅が持てずに安モーテルで週ごとに賃貸契約を結ぶ人々「隠れホームレス」の現状を描いています。


「見えなくなった」現実の厳しさ

「物語が進んでいくと最初に思い描いたような明るい世界とは全く違う現実を突きつけられる」ということでしたが、終戦後の雰囲気がまだ所々に残っていた昭和生まれという年代のせいなのでしょうか、子供の頃にはこういった話は身近によくあったので、最後までそんなに現実の厳しさを感じることはありませんでした。

ただ、身近から「見えなくなった」のは確か。

 


ボビーで思い出した駐在さん。

ディズニー・ワールドへと続くハイウェイ192号線沿いの安モーテルが「隠れホームレス」たちのの最後の手段として機能していて、営業中のマジック・キャッスルで撮影を続けられたのは、オーナーも「住人」もこの問題を何とかしなければならないと思っていたためだそうです。

 

色んなモーテルのマネージャーから話を聞くと、多くの方がボビーのように自ら望まずとも困っている家族の親のような存在になってしまっていると言っていました。もちろん愛や思いやりを持って彼らは接しているそうですが、同時にビジネスでもあるので宿代を払ってもらえない場合はストリートに放り出さなければいけません。そのためにある程度の距離を保つことを大事にしているそうで、その話を聞いてとても切ない気持ちになりました。

そういった実際のモーテルのマネージャーのリアルな言葉を反映させてボビーというキャラクターを作っていきました。

『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』ショーン・ベイカー監督来日インタビュー_SCREEN ONLINE

 

昔の団地は、住民全体で子供を見守る雰囲気があって、自分の子供が悪さをして怒られたときには親は相手にあやまったり、お礼を言ったりと現在とはずいぶん違っていました。

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駐在所は団地の集会所で、そこは図書館になったり葬儀会場になったり何かといつも皆が集まっていたところ。駐在さんは悪ガキを相手にしながら、のんびりと勤務に励んでいました。

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エンディング

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Wikipedia

「なんだ、なんだ。何が起きたんだ?」

マジックキングダムへ駆け込むエンディングは、ディズニーランドの楽しさが理解できない自分には特に意味の分からないエンディングでした。

ただ、

「人生は終わりまで分からないもの。彼女らにまだまだ未来はあるし、これから何が起こるか誰にも分からない。」

のですからこんな感じのエンディングもいいのかも。

(想像する楽しみもあるので、物語りに必ずしも結末が必要とは思っていません。)

 


お楽しみの場所探し

さて、実際のキシミーの192号線沿いはいったいどのようなところでしょうか。恒例のバーチャル「聖地巡礼」です。


Driving Highway 192, Kissimmee, Florida

舞台となったフロリダ半島のオークランドから南東に位置するキシミーを目指します。

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The Weird And Wacky World of Highway 192 in Kissimmee Florida / Extinct Theme Parks & Gigantic Fun


マジックキャッスル・イン

メインの舞台となった「マジックキャッスル・イン」はセシル湖近くの192号線沿いにありました。ほんとうにパープルの建物なのでビックリ。

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Magic Castle Inn and Suites


フューチャーランド・イン

さてお次はお隣さんの「フューチャーランド・イン」。

マジックキャッスル・インから歩いて1時間程のところ、セシル湖から南東に離れた192号線沿いにありました。
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この距離はアメリカ人にとっては「お隣さん」なのでしょうか、6歳の子供の歩く速度ではどのくらい掛かるのでしょう。(ちなみに同じ年頃の頃にひとりで訪れた一番離れたところを調べてみると大人が歩いて30分ぐらいの距離でした。)

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Paradise Inn

現在はパラダイス・インと名前が変わっていますが、

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Futureland Inn

2016年版では、確かに印象に残るロケットオブジェのフューチャーランド・インがありました。

詳しくはコチラのUS版「聖地巡礼」サイトでどうぞ。

The Florida Project (2017)_Film Oblivion


インターナショナル・ヘリツアーズ・サウス

マジックキャッスル・インの隣にあるムーニーが中指攻撃をした観光ヘリコプターのヘリポート。

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International Heli – Tours South

海外旅行をしたときに、見知らぬ土地を遊覧ヘリコプターで空から眺めるのが大好きで、ついつい乗ってしまいます。


$45 helicopter ride Kissimmee (Orlando) Florida

10数分のツアー料金が$45ということはマジックキャッスル・インの一泊($42)と大体同じ。

このヘリポートに面した192号線を右の方に向かえば、お土産店がありました。

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ジャングルフォールズ・ギフトショップ

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Jungle Falls Gift Shop

旅行で自分に買って持って帰る「お土産」は「souvenir」、家族などにあげる「お土産」は「present」や「gift」になるそうです。


Jungle Falls Gift Shop Kissimmee near Disney


エリス・オレンジ・ワールド

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Eli’s Orange World

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フロリダ産の農産物を使った加工品やディズニーのお土産店。

キシミーのショッピング店27軒中の6位ですので、けっこう有名なお店のようです。


Orange World Florida – Kissimmee’s FIRST Gift Shop on Hwy 192

 


もうひとつの「フロリダ・プロジェクト」

さて、お次はあのソフトクリーム型アイスクリーム店。

ツイスティー・トリート

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Twistee Treat

この「ツイスティー・トリート」を探すのには手間取りました。

とりあえず、このツイスティー・トリートについて調べてみました。

ソフトクリームの形をした建物が特徴のアイスクリームレストランチェーンで、現在、オーランドおよびタンパ市場全体に拡大、新しい店舗にはコーンの屋根にチョコレートのディップとLED色の「スプリンクル」が付いているそうです。

日本にはまだ進出していなさそうですのでよく分かりませんが、美味しいと評判らしいので一度味わってみたいものです。

そして、キシミーの192号線沿いパークウエイ通りにツイスティー・トリート・セレブレーション店という新しいデザインの店舗をみつけたのですが、立地がどうも違うようです。

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Twistee Treat Celebration
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昔のツイスティー・トリートの建物

物語は192号線沿いを描いていますので、フューチャーランド・インからマジックキャッスル・インの方向へ192号線沿いをバックに木の茂みがあるところを探してみると Got Thrift という古着屋の隣にそれらしき場所を見つけました。

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それがここ。

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2016年12月

手掛かりとなるバックの木の茂みの形や建物にある「4722」という数字が映画と同じですので、たぶんここで間違いはなさそうです。どうやら撮影後に移転したようです。

 


気になったのは隣の建物

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このツイスティー・トリートでのシーンに映っていた隣の建物がちょっと気になっていました。最新の画像にはすでに建物は見当たらないのですが、少し時間を遡って遠景から眺めると屋根に文字が。

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2016年12月

どうやら内科診療所だったようです。右端のサインポールの看板が外されているところから、2011年以前に閉院したようです。

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2011年5月

建物は年を追って廃棄物に囲まれていくのですが、その廃テラスに集う人影が写っていました。

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2016年7月

そして、現在。

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跡形もなくなっています。

ここにも別の『フロリダ・プロジェクト』があったのでしょうか。

 

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本日の一曲

『フロリダ・プロジェクト』は「The Little Rascals」から大きなインスピレーションを受けているそうで、ムーニーをスパンキー・マクファーランドのイメージに重ねています。

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この犬覚えています。

「The Little Rascals」は1930年代のアメリカの短編の映画シリーズから、いたずらっ子たちの出てくる作品を集めてテレビ用にまとめたもの。日本でも1961年に「ちびっこギャング」、1963年からは「ちびっこ大将」としてオンエアされました。それを毎週楽しみにしていた自分もちょうど 6~7歳の頃。

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なるほど、だからどこか覚えのあるムーニー達の姿だったのですね。

そして「The Little Rascals」に登場した子供たちのその後。


Where Are They Now: Little Rascals Cast

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