WWDE19_変換から触媒へ

Catalyst(カタリスト)の日本語訳は「触媒」。

触媒(しょくばい)とは、一般に、特定の化学反応の反応速度を速める物質で、自身は反応の前後で変化しないもののことを指します。

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白金を触媒とし、炭化水素燃料との反応熱を利用するカイロ。

 

 


 

「ティム・クックの Apple」のあくまで大衆に迎合し、小手先の技術と表面上のスタイルを追い求める iPhone 系と、かっての「ジョブスの Apple」 のように革新的な未来のコンピュータのあり方を追求し続ける Mac 系とに分社してほしいものです。

 

2015年5月7日

「フォトス」のほうがずっと覚えやすくて、APPLEらしくスマートなのに。_SUDAREの部屋


 

あれから 4年の歳月が流れました。やっと Apple の方向性に変化が見えてきたようです。

 


変換から触媒へ

デスクアクセサリ

Macitosh 初期の OS 「System」 にはアップルメニューから選んで開く「デスクアクセサリ(DA)」がありました。

アラーム機能付きの時計「AlarmClock」電卓「Calculator」設定を変更する「ControlPanel」ソフトウェアキーボード「Key Caps」メモ帳「NotePad」ゲーム「Puzzle」、クリップボードの内容を保存する「Scrapbook」がインストールされていました。

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多分現在ほとんどの人が忘れ去っていると思いますが、macOS にも似たような Dashboard 機能が「まだ」標準搭載されています。

現在では、デスクアクセサリは「ウィジェット」という名称でブログパーツやホーム画面上の小型アプリと姿を変えて利用されています。

 


macOS 上の iPhone アプリ

iPhone アプリはアイデア先行でアプリケーションとしては未熟なものも多いというのが実感です。

非力な CPU、狭い画面、指先で「アバウトなのに複雑な操作を強いられる」といった制約の多い環境で、よく工夫して開発していると思うのですが、

やはり感じるのは余裕のなさ。

どうしてもアプリというよりはアクセサリソフトのように感じてしまいます。

たぶん不自由な iPhone 環境で必要とされる慣習と縦横逆転したバランス感覚は、macOS とは違う感性を育ててしまい、それは逆に macOS 上ではマイナスに働くでしょう。そんなアプリ群が macOS に溢れ返ったら大変なことになります。( iPhone のデザイナーによって何度も改変された macOS の iTunes のデザインのように)

ということで、単純変換された iPhone のアプリが Mac上で利用できるとしても、デスクアクセサリの代替としてちょっぴり便利かなと思う程度に考えていました。

 

ところが、この心配が現実となる兆候が現れたのです。

 


前 哨

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昨年 macOS 10.14(Mojave)で追加された「ホーム」「株価」「ニュース」「ボイスメモ」の4つのアプリケーションは macOS らしくないと評判がよくありませんでした。(「ニュース」についてはアプリケーションホルダに存在するのですが、日本語環境では不可視化されていますので、通常ではその姿を確認することはできません。)

それらは、その異質なアイコンからも分かるように iPhone アプリからお手軽「変換」されたもの。

やはり、危惧していたことが現実に起き始めていたようです。この前哨シグナルについては、さすがの Apple も悪い兆候と気がついたらしく、

 

登場したのが、触媒計画。

 


Project Catalyst(触媒計画)

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iOS アプリを操作するときにいつも感じる微妙な混沌さは、かつての DOS 時代のアプリケーションと共通なものを感じさせています。「時代は巡(まわ)る」のでしょうか。

 


iOSアプリ系デザイナーの単なる好みだった。

今回の WWDC 2019 で iPadOS アプリの開発者が手間を掛けずに「iPad」用アプリを Mac にビルドできるという機能「Project Catalyst」が発表されました。

発表の途中で語られたのが、先ほどの「ホーム」「株価」「ニュース」「ボイスメモ」のガジェットについて、 それらがアプリケーションホルダに存在すること自体に違和感を持った Mac ユーザーに、将来の Mac のアプリケーションに不信感を生じさせた主な原因が「 iOSアプリ系デザイナーの単なる好みだった。」ということ。(この「遊び」を許した 現 Apple 経営陣の macOS に対する姿勢も問題なのですが。)

ということで「Project Catalyst」が自動的に iOSアプリ風にしたわけではなく、人為的にそのようにデザインされたに過ぎないという説明と同時に、Mac エクスペリエンスの美学を中心として共進化するためにアプリにいくつかの調整を加えたそうです。

この「Project Catalyst」についてCocoa エンジニアリングマネージャーの Ail Ozer 氏は「プラットフォームに適合してないモバイル移植がデスクトップに溢れかえる懸念を未然に防ぐためである。」と指摘して、

「これは、現在の形式の iPhone アプリが(Mac にとって)正しいデザインではない可能性があると開発者に認識させるための方法の1つです。」

と付け加えています。

Project Catalyst の目的は当初「iPhone や iPad のアプリをそのまま Mac で動かす」ことだったようですが、実際には「らしさ」を出すためには、かなりの修正を加える必要があることが分かったとのこと。

つまり、iPhone から出発した iOS アプリの開発者のなかには、長い歴史を持つ macOS のアプリケーションをデザインするのには向いていない人もいるということです。

(たぶん古参の Mac の利用者なら、このような事態は予想していたはず。)

 


ただ、不思議に思うのは、

iOS アプリの開発者はたぶん macOS 上で開発していることでしょう。それなのに実装される機能は別として macOS のデザインセンスを身に付けていないということ。

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そして、今後は「iPadからMac」への移植に重きが置かれます。

 


iPad から Mac へ

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ではなぜ「iPadからMac」なのでしょうか。

思い出してみれば、ひと昔前の Machintosh の画面はアスペクト比 4:3 の 640 x 480、800 x 600、1024 x 768 などの画面解像度。ここでマウス使用を前提とした Mac の GUI は洗練されユーザーエクスペリエンスが磨がかれてきました。

現在の iPad の画面解像度は 1024 x 768、つまり「横」置きしても画面に十分な余裕。

ということは、Mac のエクスペリエンスにとって基本となる画面解像度を持っていることにもなります。

「Project Catalyst」でも

iPhone よりも Mac と画面サイズが近い iPad からの方が「より自然な移行」だから。さらに「iPhoneアプリとiPadアプリの違いは、後者の方が広い画面でのデザインの蓄積があることです。」

と説明されています。

画面の広さによって要求されるバランス感覚と必要とされる反応は微妙に違ってきます。この違いが移植された iPhone アプリの違和感につながっているのだと思います。

 


加えて、 新しく用意される「iPadOS」と macOS Catalina 「Sidecar(サイドカー)」

 

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「iPadOS」

iPadOS には

・ホーム画面の拡張
・マルチウィンドウ
・ファイル管理
・「サイドカー」機能
・テキスト編集
・ファイルの直接解凍
・マルチカラムのツリー表示
・よく使うファイル表示
・外付けストレージアクセス

など、どれも macOS では当たり前な機能が加わります。

特に、これまで、iOS でもっとも不満だった「ファイルシステムを自分でコントロールすることができない」ことが解消されて iPad がやっと手に馴染む使いやすい道具となることでしょう。

今後、iPadOS にさらなるデスクトップ向け UX が加えられるのかは分かりませんが、たぶんこの方向に進んでいけば、もっと macOS に近い存在になる様な気がします。

それにしても、ずいぶん回り道をしたものです。

 


macOS Catalina 「Sidecar(サイドカー)」

さらに、macOS 10.15(Catalina)には「ワイヤレス」でタッチペン入力に対応したMacのサブディスプレーとして iPad を活用できる新機能「Sidecar」が搭載されることになりました。

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Sidecar

iPad にもっと macOS 寄りの使いやすいオペレーティング機能を加え、さらには macOS にはない画面と一体化した大型タッチパネルの利点を独自に追求していくこと。また macOS からは iPad をタッチパネル付きサブディスプレイとして扱えるようになるということは、今までにない新しい利用環境を加えることでしょう。

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そして、この新しい環境の iPad アプリを開発することで、もっと自由でクリエイティブな(正しい)デザインセンスを身に付けることもできるというわけです。

 


 

たぶん、アイデア優先で容易に開発できる iPhone app で間口を広げた結果、玉石混交ながら開発者が十分に増えたので、しきい値を上げて本当に能力のある開発者を育てる時期と判断したのでしょう。

 


iPad のマウス機能について

iPadでも有線・Bluetooth のマウスを使うことができるようになってはいるものの、あくまでも基本的な対応だけでマウスのボタンへの機能追加やマウス感度の調整ができないそうです。

ディスクトップの iMac/Mac Pro はマウス操作が主流です。

多分このマウス操作体験もデザインセンスに影響してくると思いますので、円形の画面タッチの代替手段として使うアクセシビリティ機能だけではなくて、黒い矢印型のカソールを使用した一般的なマウス動作も別に選べるようにして欲しいものです。

macOS では公然な秘密機能の右クリック機能のように。

 

とにかく、久しぶりにワクワク感を感じた今回の発表、レトロフューチャー気分で今後の展開が楽しみです。

 


本日の一曲


The Alan Parsons Project- Eye in the Sky(1982年)

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