最も古くて最も新しい_今年は『2001年宇宙の旅』50周年

今年は、『2001年宇宙の旅』の公開50周年。そしてスタンリー・キューブリック監督生誕90周年。世界各地でこの節目となる年を記念した催しが次々と開かれています。

2001 A Space Odyssey Opening in 1080 HD

50年を経た現在でも世界中で高い人気を保っていることに驚きながら、オリジナルの『2001年宇宙の旅』を体験できた幸運を今更ながら嬉しく思っているこの頃。

 


カルト映画


Kubrick’s 2001. 50 Years A SPACE ODYSSEY

『2001年宇宙の旅』50周年展(ドイツ)
2018年3月21日~9月23日

フランクフルト・ドイツ映画博物館では、『2001年宇宙の旅』公開50周年を記念して、多数の国際コレクションのオリジナル展示とロンドン芸術大学スタンリー・キューブリック作品アーカイブを特集した「Kubrick’s Kultfilm 2001」展が開催されています。

Kubrick’s 2001. 50 Years A SPACE ODYSSEY

 


思い出の品々

キューブリック関連オークション(イタリア)
2018年3月27日開催


Stanley Kubrick memorabilia on auction in Italy

スタンリー・キューブリック監督のゆかりの品のオークションがトリノで開催されました。

出品されたのは『博士の異常な愛情』や『2001年宇宙の旅』『シャイニング』などの作品で実際に使用された小道具や衣装、販促のツールなどで、落札総額は9万ユーロ(約1,200万円)。

 


肩の上に乗って

ミニドキュメンタリー(ユーチューブ)
2018年 4月 3日公開


2001: A SPACE ODYSSEY – 50th Anniversary | “Standing on the Shoulders of Kubrick” Mini Documentary

ユーチューブで「巨人の肩の上に乗る矮人(わいじん )」という先人の積み重ねた発見に基づいて何かを発見することを指す西洋のメタファーをもじった「キューブリックの肩の上に乗って」というタイトルでジョージ・ルーカス、スティーブン・スピルバーグ、シドニー・ポラックなどの監督とのインタビューを通じて、『2001年宇宙の旅』の SF映画、特殊効果、ワールド・シネマへの影響を検証するドキュメンタリーが公開されました。

 

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もし、この映画が一度で観客に理解されたら、我々の意図は失敗したことになる。

アーサー・C・クラーク

言葉で説明できない種類のもの、つまり視覚的体験を、見る人の意識の内部へ到達するような強烈な体験を私は創造しようとしたのだ。(製作の意図について)この映画の主題は ”神” という概念だ。ただし、これまでのような神ではなく、科学的な定義による神なのだ。宇宙の知的存在、生物的進化の最先端としての神である。(作品の主題について)

スタンリー・キューブリック

スタンリー・キューブリックは究極的なSF映画を創った。そして、どんな人でもこれ以上の映画を製作することは非常に困難なことであろう。技術的に比較することは出来るが、私は「2001年宇宙の旅」が遙かに優れていると思う。

「スター・ウォーズ」の監督ジョージ・ルーカス

以上、日本での再ロードショー(1978年)時のパンフレットより

彼は何ものも模倣しなっかたが、我々はみんな、我先に彼を真似しようとした。

スティーブン・スピルバーグ

 


宇宙の果てのベットルーム


50 years after ‘2001: A Space Odyssey’, Stanley Kubrick’s still turning heads

アメリカ国立航空宇宙博物館『2001年宇宙の旅』公開50周年記念展
2001年宇宙の旅 体験型アート展(ワシントン)

2018年 4月 8日から 5月28日まで開催


ワシントンにある国立航空宇宙博物館では『2001年宇宙の旅』公開50周年を祝うイベントが開催されました。

メインはボーマンがスターチャイルドへと進化を遂げるまで過ごした、あの有名な新古典的なホテルのベットルームを精密に再現、入室して撮影もできる体験型アート展。

グループ単位で入場ということで宇宙服を着用するのかと思いきや特別なスリッパの着用。どうやら床のことを考えての人数制限だったようです。

ところで、真っ白な部屋にブラウンの家具という色味のない部屋に絵画だけがカラフルで目を引きます。キューブリックの意図は何だったのでしょうか。今まで気にしていなかった壁に飾られた絵画が新たに気になり始めました。

2001: A Space Odyssey Immersive Art Exhibit

 


カメラとジャズの日々


Through a Different Lens: Stanley Kubrick Photographs

『Through a Different Lens: Stanley Kubrick Photographs』写真展(ニューヨーク)

2018年 5月 3日から10月28日まで開催

 


スタンリー・キューブリック写真集

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スタンリー・キューブリック写真集『Through a Different Lens: Stanley Kubrick Photographs』には、ニューヨーク市立博物館が所蔵するルックマガジンアーカイブ12,000以上のネガのうちから選ばれた、120点にも及ぶキューブリックの作品が収められています。

多くの未発表の写真には、ナイトクラブ、ストリートシーン、スポーツイベントからインスピレーションを得た普通の生活に見え隠れする人生のペーソスが、彼の若い年齢からは信じられない洗練さで映し出されています。

 


そのニューヨーク市立博物館所蔵の写真展ではキューブリック監督がキャリアを積み重ねた若き日々とその天性を印刷物以上に実感できるようです。


 

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キューブリックは1928年 7月26日、医者の息子として生まれた。高校時代の望みはジャズ・ドラマーになる事で、今でも時々演奏をして楽しむほどのマニアである。

また、彼はカメラ画が好きで、16歳の時、ルーズベルトの死を扱った写真が “ルック” に買いとられたこともある。17歳で高校を卒業すると同時に “ルック” 誌にカメラマンとして入社した。彼は “ルック” に4年間勤めた。

数多い監督の中で彼ほどカメラ技術に造詣の深い人はなく「2001年宇宙の旅」での新しいアイディアの数々は、新しいカメラ技術に関する教科書といえる。

“ルック” に在籍中、記録映画や ”THE KILLER’S KISS” 、”FEAR AND DESIRE” などの実験映画を製作した。

映画は多くの人から称賛されたが、映画会社から口がかからなかった為、再び生活の為に一局25セントの賭チェスをして食費をかせいだ。

日本での再ロードショー(1978年)時のパンフレットより

Through a Different Lens: Stanley Kubrick Photographs

 


最も古くて最も新しい

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クリストファー・ノーラン監修版上映(カンヌ)

2018年 5月12日


2001: A Space Odyssey – 50th Anniversary Trailer Comparison

『2001年宇宙の旅』の公開50周年を記念した70mmフィルム版が、第71回カンヌ国際映画祭にて上映されました。

 


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上映時には、キューブリックの妻クリスティアーヌ、彼女の弟でありキューブリックの「シャイニング」「フルメタル・ジャケット」などで製作総指揮を担当したヤン・ハーランとともに、クリストファー・ノーランが案内役として登場。

マスコミが大騒ぎしている日本映画がパルムドールを受賞したことより、ずっとこちらの方が気になる話題。キューブリック監督自身には『2001年宇宙の旅』を出品してもらえなかったカンヌ映画祭ですが、やっと50年後に上映することができたのでした。

クリストファー・ノーランはバットマン・シリーズで有名な監督ですが、『インセプション』(2010年)『インターステラー』(2014年)しか観てません。両作品とも『2001年宇宙の旅』をオマージュしていることは何となく感じていましたが、残念ながらアイデアは別として映像美や精緻さは比較にならないと感じていました。

そして今回、1999年にネッド・プライスが始めた『2001年宇宙の旅』の修復保存プロジェクトがオリジナルのネガが収縮して退色していたため止まっていたことを知ったノーランは、1968年の劇場公開当時のオリジナル映像を再現して50年前の映像体験を再現することを目標にプロジェクトを引き継ぎ、完成させたのです。


『2001年宇宙の旅』のトラウマ体験

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そこまでオリジナル再生に情熱を燃やすにはやはり理由があったようで、ノーランが 7歳のときに、『2001:A Space Odyssey』を父親と共にロンドンに見に行ってショックを受けたからだそうです。

分かる気がします。いい意味でのトラウマ体験だったのではないでしょうか。

同じ年、13歳のときに観た自分も、いまだこの映画についてのブログを書き続けているわけで、オリジナルの『2001年宇宙の旅』の感動体験は人によってはその人生まで変えてしまうほどの強い力を持っていました。

そして、その感動を再体感しようとその後公開された TV放送、ビデオや劇場再上映などを期待して観ても再編集されたものばかり。感動したオリジナルとは全く別物もので、渇望感は増すばかりでした。

見終わるたびに「あれこんな映画だったっけ?自分の記憶が間違っていたのだろうか。」と呟くのが習慣になっていました。

多分同じ感想を持っていたノーランは「あの時の感動を再び」という強い気持ちに突き動かされ、永遠に続くように感じる地味な時間を費やす作業に取り組んだのだと思います。

 


この最も古くて最も新しい映画『2001年宇宙の旅』は 2018年秋には 4K UHD 版としてもリリースされる予定です。

机の上には公開後10年を経た1978年に再び劇場公開されたパンフレット。

再公開で味わった違和感が思い出されます。

あれからさらに40年。やっと原体験が蘇える機会に出会えたのかもしれません。

でもその前に 4K で鑑賞できる環境を整えなければ。

いまはこれが問題。

 


本日の一曲

 

合計3回使われている『ツァラトゥストラはかく語りき』の演奏はヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のデッカ・レコード録音版だが、デッカ(1968年当時は日本国内ではロンドン・レーベル)が演奏者名を出さないことを許諾の条件としたので、映画のエンド・クレジットでは曲名しか表示されていない。

2001年宇宙の旅_音楽_Wikipedia


Johann Strauss II The Blue Danube 2001 A Space Odyssey version

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