My「サマー・オブ・ラブ」_ミスティック・ムード・オーケストラ

「ビニールの音質の完璧さは、デジタル時代に新しいファンを見つけるか?」

海外のニュースの機械翻訳でみつけたこのフレーズ、『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』的で気に入っています。

ビニールとは日本ではポリ塩化ビニールで作られたレコード盤のことですが、英語読みでは「バイナル」、日本語で「ビニール」何とかと呼ばれるものは英語ではプラスチック何とか。ちょっとややこしい。
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久しぶりに取り出した、ちょうど50年前に手に入れた一枚のアルバム。

想い出深さゆえに手元に残したレコードのうちでも1968年購入とかなり初期のものです。懐かしい旧フィリップスロゴが印刷されたラベルのレコード盤を眺めているうちに、ここから広がっていったさまざまなことが想い出されます。


The Mystic Moods Orchestra – The Look Of Love(1968年)

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アルバムの名前は「ミスティック!! サウンド・オブ・サイレンス」

サブタイトルは

ファンタジック・ワールド・オブ・ザ・ミスティック・ムード・オーケストラ。

いま考えると、1968年のこのアルバムと映画『2001年宇宙の旅』との出会いが自分にとっての「 サマー・オブ・ラブ」でした。

実際の「Summer of Love」は1967年でしたが、自分の「サマー・オブ・ラブ」は少し遅れた1968年。そのときからカウンターカルチャーの影響のもとに次々と花咲く文化現象と過ごす日々が始まったのでした。


Emotions

このアルバム、ジャケットからすれば当時アメリカで発売されていた「Emotions(The Mystic Moods Orchestra)」の日本版ということになります。

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ミスティック!! サウンド・オブ・サイレンス(1968年)

しかし、タイトルはUS版と同じ「Emotions」なのですが、ジャケットのデザインはUS版の「情動」を表現したセクシーなものから、当時ムーブメントとしてピークを迎えていたサイケデリックを上品にアレンジしたものに変更されています。

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US版の「The Mystic Moods Of Love」と「Emotions」

さらに収録曲も日本版はA面はオリジナル版の「Emotions」B面は同じ年に発表されていた「The Mystic Moods Of Love」からピックアップしたものとなっています。

多分、売り上げやスケジュールなどの都合があって、2作品をコンパクトにまとめてしまった企画ものだったのでしょう。

SIDE:A
1.        Sound Of Silence – Scarborough Fair/Canticle サイモン&ガーファンクル(1966年)
2.        Do You Know The Way To San Jose(サン・ホセへの道)ディオンヌ・ワーウィック(1968年)
3.        Eleanor Rigby(エリナー・リグビー)ビートルズ(1966年)
4.        Cloudy(クラウディ)サイモン&ガーファンクル(1966年)
5.        Homeward Bound(早く家へ帰りたい)サイモン&ガーファンクル(1966年)
6.        Early Morning Rain(朝の雨)ゴードン・ライトフット(1966年)
7.        Listen To The Warm ロッド・マッキューン(1967年)

SIDE:B
1.        The Look Of Love(恋の面影)『007/カジノ・ロワイヤル』バート・バカラック(1967年)
2.        Moonlight(月の光)『ベルガマスク組曲』クロード・ドビュッシー
3.        Friendly Persuasion『友情ある説得』(1956年)
4.        Can’t Take My Eyes Off You(君の瞳に恋してる)フォー・シーズンズ(1967年)
5.        Live For Life『パリのめぐり逢い』フランシス・レイ(1967年)
6.        A Very Precious Love『初恋』ジーン・ケリー(1958年)
7.        The Glory Of Love『招かれざる客』(1967年)


MMOサウンド・スタイルの誕生

ミスティック・ムード・オーケストラの特徴は、「滝が流れ落ちるように美しい」と形容されるカスケーディング・ストリングスが特徴のマントヴァーニ調のメロディに、野外録音された環境音をミックスした独特なサウンド・スタイルにあります。

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このサウンド・スタイルは、ミスティック・ムード・オーケストラの創始者であるブラッド・ミラー(Brad Miller)が、50年代にはまだ走っていた最後の蒸気機関車の音を可能な限り正確に残そうと、当時最新のステレオ技術を駆使した録音し始め、その録音を販売するために友人とモービル・フィデリティ(Mobile Fidelity) というレーベルを立ち上げたことに始まります。


Steel Rails Under Thundering Skys

この頃フィールド・レコーディングは、ステレオの夜明けと共にブームになっていました。彼のサウンド・アルバムは High Fidelity誌で好評を博しました。

(日本では、1971年に「ドキュメンタリー録音 雷鳴下の蒸気機関車」 というタイトルでキングレコードから発売。)

そして1966年の深夜、

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サンフランシスコのラジオ局KFOGのアーニー・マクダニエルが、別々のターンテーブルに置かれたミラーのアルバム「Steam Railroading Under Thundering Skies」とイージーリスニングのアルバムをミックスして放送したところ、リスナーから好意的な反響が多くあったという出来事がありました。

このことを知ったミラーは彼が集めたさまざまな環境音とドン・ラルケがアレンジした弦楽オーケストラサウンドとのミックスし始めます。

そのブレンドの調整に数ヵ月を費した後、「One Stormy Night(Mystic Moods Orchestra)」というタイトルで1965年にフィリップスレーベルからアルバムをリリース、いままでにない斬新な音空間の表現スタイルは大ヒットしたのです。

これがミスティック・ムード・オーケストラの誕生物語。

その後ミラーは同様のスタイルのレコーディングをリリースし続け、1974年には自身のレーベル Soundbird を立ち上げて、ミスティック・ムード・オーケストラの多くのアルバムをここから再リリースしています。

そんなアルバムのひとつ「Emotions(「ミスティック!! サウンド・オブ・サイレンス」)」は、はるか海の向こうの小さい世界に生きていた12歳の少年に、まだ見ぬ異国のオトナ達の情感の世界へ夢を膨らませるきっかけとなったのでした。

さて、それからどんな世界を垣間見ることになったのでしょうか。


本日の一曲

ミスティックのバート・バカラックの名曲「ルック・オブ・ラブ」で始めた今回のブログ、再びダイアナ・クラールで終わります。


Diana Krall – The Look Of Love(2001年)

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