街道ぐるり特急旅_小名路

今年は雲りの日が多く、なかなか夏らしい空に向けてシャッターを切る機会が少ないような気がします。

8月になっても入道雲ではなく、なんとなく秋めいた高い雲が流れていきます。そして近くの小学校では盆踊り大会、遠くからは打ち上げ花火の音。

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ちょうど1週間ほど前、武州、甲州、信州を駆け足で回りました。


Overture of the Summer Wars

今年の旅行はどうしようかと考えていたある日、鉄道での旅を長い間してなかったことに気がついて、久しぶりに鉄道での旅をすることにしました。

実際、仕事以外での鉄道の旅は実に30年ぶりのこと。

そこで一度やってみたかった名古屋-東京間を中央本線で走破することから計画を立て始めました。

「青春18きっぷ」も考えてみましたが、体力を考えると無理そうなので、結局、新幹線で人が多くてめんどうな東京を避けて新横浜で降り、横浜線で八王子に向かい、そこから中央線の特急「あずさ」に乗り、松本から特急「しなの」で名古屋に戻るという、東海道/甲州街道/中山道をぐるりと特急で旅するコースに決定。

当然、訪ねてみたいところがあるため、宿泊も。

JR東海では在来線はネット予約できない。

さて、スケジュールが決まったところで今度は30年ぶりの切符の購入です。いまどきはネット予約で済むのかと思いきや、JR東海では新幹線以外できないことが分かりました。

そして、JR東海では「JR全線きっぷうりば」

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そうなれば、みどりの窓口に出向いての切符購入なのですが、調べてみて分かったことは現在のJR東海には「みどりの窓口」ではなく「JR全線きっぷうりば」という名称になっているということでした。

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しかも、市内のJRの駅は少なく、さらに地下鉄と連絡しているのはたった 5ヶ所。これをバスと地下鉄を乗り継いで行くのかと地図を眺めていたところ、ふと車で10分ほどのところに開設された新駅を思い出したのです。

調べてみると「JR全線きっぷうりば」があり、無事購入できたのでした。

よく利用している方にとってはあたり前のことかもしれませんが、ずいぶん昔のことしか覚えていない自分にとっては、ちょっとした驚き。


出発

前日に、始発のバスでは間に合わないため早朝タクシーの予約電話しても(信頼していたタクシー会社にさえ)断られ、結局 5時頃から重たい荷物を持ちながら20分かけて地下鉄の駅まで徒歩で行く羽目に。

一体何のためにタクシーはあるのかと考えながら歩いている間に、タクシーが何台も前を走り過ぎていきます。

人手不足なのか「日曜日」という曜日が悪いのか。

将来のことを思うと、無人運転のシェアリング・カーの必要性を考える始めている自分。


名古屋駅から新横浜駅

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新横浜駅に到着。ここで横浜線に乗り換えます。


横浜線

新横浜
小机
鴨居
中山(神奈川)
十日市場(神奈川)
長津田
成瀬
町田
古淵
淵野辺
矢部
相模原
橋本(神奈川)
相原
八王子みなみ野
片倉
八王子

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窓から停車する駅名を眺めていて、「橋本駅」という駅名で気がついた事がありました。

リニア新幹線効果

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確か、橋本駅南口付近にリニア中央新幹線の新駅「神奈川県駅(仮称)」が設置される予定です。東京 – 名古屋間を最速で40分で結ぶ予定なので、橋本までなら35分くらいでしょうか。

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つまり、10年後にリニア新幹線が開通すれば、新宿からと同じ感覚で名古屋からも高尾山に行くことができるのです。名古屋の人々にとって、ちょっと京都に遊びに行く感覚で高尾山にも行けることになるわけです。


RailSim リニア新幹線PV

リニア新幹線の開通後にどのような変化が起きるのか想像してみるのも、けっこう楽しいことに気がつきました。


JR八王子駅

ラビリンス_迷宮の階段

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JR八王子駅でいちど駅の外に出ようと改札口に向かったのですが、跨線橋に駅舎に繋がる通路がありません。となり跨線橋に移動しても見当たりません。(今度は突き当った左側には改札口への通路があるのですが、同じような風景なので気がつきません。)

まるで出口のない迷宮に踏み込んだ気分。

どうやら乗り換え専用階段放送を聞き逃したようです。放送されているということは、迷う人も多いということでしょうか。


乗り換え専用階段放送

JR八王子駅をはじめて利用される皆さん、気をつけましょう。

高尾山を目指して中央本線の「JR高尾駅」に向かいます。


JR高尾駅

39年目の天狗像

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改札口に向かったものの、ハッと思い出してホーム最後尾に戻り、バスの時間を気にしながら大急ぎでカメラに収めたこの一枚。

39年目にしてやっと実物を見ることができました。

ディスカバー・ジャパン「美しい日本と私」

1978年に観光客誘致の目的で、当時の国鉄が行っていた「ディスカバー・ジャパン」とタイアップして高尾観光協会と高尾山薬王院が高尾駅の3番・4番ホームに設置したのがこの天狗像。

そして1978年は懐かしい山口百恵のあのCMの年。


旧国鉄CM いい日旅立ちキャンペーン(1978年)

この頃から個人旅行や女性の旅行者などが増加して、日本人の旅行に対する意識が変化し始めます。

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高尾駅北口(左手)2番乗り場で高01小仏行に乗ります。

京王バス 高尾駅北口~小仏(小仏線)に乗ってみよう!

この高尾駅北口のバスターミナルにはUターンするスペースがないので、バス用ターンテーブルがあるそうです。

交通系ICカード
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今回の旅で便利だったのは名古屋の交通系ICカード「manaca(マナカ)」。

全国相互利用できるのでJR東日本や京王の電車、バスもこれ一枚で済みました。目的地ごとに切符を購入する手間が省けて、ほんとうに重宝しました。

当然京王バスでも利用できましたが、京王バスのICカードでの支払い方法は、同じバス会社なのに都心部は前乗り先払い、郊外は後乗り後払いと二種類あります。ということで今回は後乗り後払い方式ですから乗車時と降車時の二回「ピッ」「ピッ」とやりました。

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窓の外はあいかわらずの雨模様。

雨にも負けず、夏の暑さにも負けず。そういう旅人に私はなりたいなぁ


小名路(こなじ)

JR高尾山駅から2停留所目のところなので歩いてもよかったのですが、体力をなるべく温存しておきたかったのと一度小仏行京王バスに乗ってみたかったので利用しました。

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小名路に立ち寄った理由(わけ)

ひとつは楽復時計台駅。

「両界橋隧道」_トンネルを抜ける

両界橋の脇道には、JR中央本線下り方面の高架下だけに甲武鉄道時代に作られたレンガ造りの隧道(人道トンネル)があります。もともと単線だったのを後年コンクリートの橋梁を足して複線化したため、上り線にはありません。

ということはこの半分しかないトンネル、途中から急に天井が高くなるわけです。荻野一家が楽復時計台駅に入っていく感覚でしょうか。

25歳になった千尋_高尾山

以前ブログに高尾山付近にある隧道が楽復時計台駅を想像させると紹介したのですが、自分の目で確かめたくて来てしまいました。

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やはり、不思議の世界への入り口を想像させます。

そしてもうひとつは、「花屋旅館」。

江戸時代創業の旅館でしたが現在は廃業。『大菩薩峠』ファンとして一度は訪れてみたかったところ。

中里介山は、1921年(大正10)高尾山麓に移住。現ケーブル清滝駅奥・前の沢沿いにあった佐藤旅館に寄宿して「大菩薩峠」を執筆。高尾の自然が気に入った介山は翌年、前の沢の上流妙音谷(現高尾保養院奥)に草庵を結び執筆活動を続け、ここで「阿波の国の巻」「小名路の巻」を書き上げました。

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「ここはどこだ」
たずねてみると、
「八王子の宿(しゅく)でございます」

返事をするものがあったから、不思議に思いました。板橋は中仙道の親宿。八王子は、それとは、方面を変えた甲州街道の一駅であります。昨夜、板橋を出ていつのまに八王子へ来てしまったろうと、訝(いぶか)しさに堪えられません。しかしながら駕籠はいよいよ急ぎます。暫くして行手に山岳の重畳(ちょうじょう)するのを認めました。

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「新編武蔵国風土記稿」 駒木野関所の絵

「あれは?」
と尋ねると、
「小仏峠(こぼとけとうげ)でございます」

果して甲州街道へ来てしまった。しかし、よく考えてみると甲州街道へ来るのがその目的であったようです。

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花屋旅館の裏手にある南浅川の景勝地「古淵」

雲の棚曳(たなび)いている小仏峠の下を見ると、道の両側に宿場の形をなした人家があります。両側の家の前には、水のきれいな小流れが、ちょろちょろと走っています。

「ここは?」
「浅川宿でございます」

と答えた途端に、急いでいた駕籠がピタと止まりました。

駕籠の止まったところを見ると、この宿場としては目立って大きな一軒の旅籠屋(はたごや)の軒下であります。それは昨夜と同じように、表の戸はすっかり締めきってあるのに、掛行燈だけが、かんかんと明るく、昨夕「若葉屋」と書いてあったところに、今宵は「こなや」と仮名文字(かなもじ)で記されてありました。

駕籠(かご)はと見れば軒下に置放しにされて、駕籠屋は影も形も見えません。
そこで竜之助は、その家の戸をハタハタと叩きました。

「どなたでございます」

中から返事がありました。

「浅川宿のこなやというのは当家か」

竜之助は念を押してたずねると、

「いいえ、宅はこなやではございません、花屋でございます」

という二度目の返事です。

そこで竜之助が、はて、と思いました。表の掛行燈にはまさしく「こなや」と書いてあるのに、中の人は「こなや」ではない、「はなや」だという。行燈を見直して、更にたずね直してみなければなりません。

「ここは甲州街道の浅川宿であろうな」
「はい、小仏へ二里、八王子へ二里半の、浅川宿の小名路(こなじ)でございます」
「それならば、行燈に書いてあるこなやが間違いないのだろう」
「いいえ、こなやではございません、小名路の花屋でございます。いったい、どちらからおいでになりました」
「江戸の駒込から来た」
「駒込はどちら様で」
「以前、当家の養女であったという、お若という人を連れて来た」
「まあ、お若さんがおいでなすったそうですよ」

大菩薩峠(中里介山)小名路の巻より

そう、まさにこの場所が描かれていました。来てよかった。


いざ高尾山へ

雨は降り続いています。

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南に向かって、高尾山を目指します。先のほうに京王高尾線の鉄橋が見てきました。もうすぐです。

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やっと京王高尾山口駅に到着。

次回「高尾山」につづきます。

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