アニメの風景_『あたしンち』_ファッション

作品中でみかんやその友人、母とよく衣料品店に行くシーンが描かれています。それは、女性にとっては「おしゃべり」の次に楽しいイベント。

ファッション

みかんの定番ファッションといえば、パーカー(フードつきのスウェットシャツ)。

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これも値段も手ごろなサーファーファッション。

ただ当時のファッションの中心は女子大生でしたので、共学の女子高校生ティーンズがどこまで流行を追っていたのかはよく分かりませんが、原作やアニメにはサーファー&スポーツファッション系が多く登場しているので、やはりみかんの基本は80年代ファッション。

リアルみかんの頃(1980年代初頭)

現在、衣料品市場は1991年の規模20兆円をピークに12兆円まで縮小(約半分)になってしまったのですが、リアルみかんの頃は日本のファッション全盛期でした。

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ファッションにとって「80年代は、あらゆるアイテムが出尽くした至福の時代」

谷川直子_1980年代 何だったのかあの時代

Red & Blue

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この頃、若い女性のファッションとして「ニュートラ」「ハマトラ」が大流行。

関西からブレイクした「ウエストコ-スト風アメカジ」
ハワイアントラッドを取り入れた「サーファーファション」
神戸のお嬢様から発祥された「ニュートラ」
既存のニュートラとハマ独自のトラッドが溶け合って完成された「ハマトラ」

ニュートラは1975年頃、雑誌「anan」が提唱した海外高級ブランドを取り入れた神戸的なお嬢様的ファッション。その後80年代に入ると「JJ」「CanCam」「ViVi」「Ray」等の赤文字(コンサバ)系雑誌が追従し、全国的な広がりを見せました。

(対する青文字系雑誌の「Non-no」「More」「Sweet」はモード系。 )

パーカー

もともと「パーカー」といえば、1950年代に採用されたアメリカ軍の極寒防寒衣料軍用パーカが有名でした。ファッションとしては90年代までは「モッズパーカ」、現在では「モッズコート」と呼ばれているそうで、何だか寂しい気もします。


Quadrophenia – Final(1979年)

LOVE REIGN O’ER ME 2_ふたつの QUADROPHENIA_過去ログ

ファッションスタイリング_Now

スポーティ カジュアル フェミニン フォークロア エレガント トラッド フォーマル コンサバティブ(ベーシック)コンテンポラリ(モダン)

これら基本的なファッションスタイルのキーワードを元にして、流行しているファッションスタイルやトレンドの解析作業をやっていたことがあります。

そんなスタイリング、現在はどうなっているのでしょうか。

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Styling Map_日本スタイリスト協会

みかんは「ガーリー・カジュアル」
しのちゃんは「エスニック・セクシー」
春山は「コンサバ・エレガント」
ゆかりんは「モダン」

こんなスタイリングイメージでしょうか。

女性の好むスタイリングの基本はそんなに大きくは変わっていないようですが、

どうもニュアンス的なものが増えて分かりにくくなっているようです。

それは「湖」の時代の象徴。

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最近では、街を歩く女性のファッションに「おんなの粋さ」を感じることが少なくなりました。

「ちょっと新し目、ちょっとお洒落で、使いやすいアイテムを程々の価格で」といったものがほとんどで、みんな似たり寄ったりになっているように感じます。

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志村立見_インターアート

物が豊かになるということは、川のように湧水が上流から流れてくるのではなく、底から豊富な水が湧き出る湖のような、水が留まった状態になることかもしれません。

そして川のある生活比べて、変化の少ない湖での生活にあった新しい価値観の「ものさし」が必要となります。

大量消費時代における「モノの価値」とは、モノそのものの使用価値、あるいは生産に利用された労働の集約度にあるのではなく、商品に付与された記号にあるとされる。

モノ(商品)を買う行為は欲求充足の他に「自分らしさ」(オリジナリティ)を主張する言語活動の一面があり、他者との差異をつけ、個人のアイデンティティを社会の中に定位させる道具である。これは消費社会において無意識のうちに強制されており、「自分らしさ」の追求は消費社会というお釈迦様の掌の上の孫悟空の様なものに過ぎない。

『消費社会の神話と構造』(1970年)ジャン・ボードリヤール_Wikipedia

市場の成熟化で必要な「モノ」はほとんど手に入るようになり、人々の関心は経験や体験、思い出、人間関係、サービスなどの目に見えない価値である「コト」の消費に移っています。

ファッションの流れも同じような推移を辿って来たような気がします。

素材を生産するメーカーの都合上、流行色や生地は数年前から大体方向が決まっていて、最新のオートクチュールやプレタポルテのデザイン傾向を踏まえたうえでデザイン。そしてファッション雑誌などのメディアで大量露出で流行させる。この素材メーカーやアパレル会社による流行のコントロールシステムが一般的でした。

これに対して、デザイナーがオリジナルな素材やプリント柄を開発してデザインを表現するハウスメーカー的な手法もありました。これが DCブランド隆盛につながったわけですが、コスト的に高価なので同じ価格なら長く着られ、投資価値のあるものへとインポートブランドへ移行していきます。

理由は分からないのですが街で突然ブームとなるものもありました。たぶん消費者が無意識で「こんなのが欲しい」と感じていたスタイルが、偶発的に現れたのでしょう。定点的な街角ウォッチングでその兆候を察知して短期生産するシステムのアパレルメーカーもあります。

このように意図してつくられたファッショントレンドの持つ力も段々弱くなって、普通の女性にとってのファッションは他の「コト」のための「モノ」とその立場を変えつつあります。

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Aral Sea いつかその湖も環境の変化で干上がるかもしれません。

でも「着たい服と似合う服」に悩みながら、新しい服に袖を通すときの楽しさはずっと変わらないでしょう。

ファッショントレンドとみかんの頃

ここで少々、過去の女性ファッションの流れについて振り返ってみることに。(といっても覚えていることだけですが。)

■■■ プレタポルテとカラーキャンペーンの時代(50年代末~67年)


ワンサカ娘’64

・アイビールック流行。「Kent」「VAN」。
・ワンポイントカジュアル。「アーノルドパーマー」

ブティックとマンションメーカーの時代(68年~73年)

・マンションメーカー、ファッション誌創刊ラッシュ。
・ヤングカジュアルブーム、若者のファッション化時代。
・鈴屋や三愛などのブティックチェーン展開。

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三愛といえば水着。80年代に入るとワンピース型の水着の方が大きな人気を得るようになりましたが、80年代後半パレオの流行によって再びビキニの売れ行きも復活。


C CHANNEL 三愛水着の60周年展覧会へ行ってきました♪ YU

リアルみかんの頃(1980年代初頭)

ニュートラ/アメカジとライセンスブランドの時代(74年~81年)

・サファリ・ルック/サファリ・ショーツ(60~70年代)
・フォークロア/小花柄(70年代)
・マリン・ルック/パーカー、ボーダー柄(70年代)
・ニュートラ、ハマトラ(70年代後半)

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・エレガンス(丘)サーファー・ルック/ニットパンツ(70年代後半)
・デザイナーズジーンズ(70年代後半)

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アニメの吉祥寺PARCOは1980年開店。(第262話 着たい服と似合う服)

DCブランドとブランドショップの時代(82年~86年)

ワンブランドショップ(ブランドの直営店やFC店)、ファッションビル増加。


昭和の動画(1985年)

この時代になってもまだ、女子高校の卒業前メイク講座があったようです。今はどうなっているのでしょうか、たぶんないような気がします。

ボディコンとインポートブランドのバブル時代(87年~91年)

・DCブランド(80年代前半)
・渋カジ/紺ブレ(80年代後半)
・ストリート/スタジアムジャンパー(80年代)
・エアロビクス/レッグウォーマー(80年代)
・ケミカルウォッシュ(80年代後半・90年代)
・インベストメント・クロージング(80年代後半)
・ボディ・コンシャス(80年代後半)


石井明美 CHA -CHA -CHA(1986年)

1985年、ポーラーテック社がフリースを発明。

原作みかんの頃(1990年代後半)

チープ&シックとストリートカジュアルの時代(92年~97年)

・渋カジなどのストリートカジュアルブーム。
・バブル崩壊後の低価格衣料チェーン台頭。

■■■ ユニクロ&しまむらのデフレ時代(98年~02年)

・ソフトジーンズ(90年代前半)
・アニエスベー(90年代)
・キャミソール(90年代末)
・ルーズソックス(90年代)
・エスニック(60年代・90年代)
・フリース(90年代末)

アニメみかんの頃(2000年代)
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■■■ セレブカジュアルとミニバブル時代(03年~07年)

・スキニーシルエット(00年代)

■■■ ファストファッションと等身大のリーマンショック時代(08年~11年)

・ナチュ可愛カジュアル。
・「H&M」「フォーエバー21」
・同質化と値崩れが加速。

新アニメみかんの頃(2010年代)

■■■ グローバル化とオムニチャネル化のアベクロミクス時代(12年~)

・『気に入ったものを長く愛でる』というスローファッションブーム。
・モード志向のファストファッションの復活。

80年代ファッションの裏方時代

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自分はちょうどアパレル業界に入ったばかりの頃で、ポロやベスト、カーディガン、タータンチェックの巻きスカートなどを詰め込んだ箱を体力勝負で何十個も運んでいた時代。

そう、華やかなファッション業界も男子にとっては長時間重労働の世界だったのでした。

でも携帯電話もインターネットもなく「モノづくり」が楽しく意味を持っていた時代で、デザイナーもパタンナーも縫い子さんも販売員も、女性達がみんな一所懸命働いていました。

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入社後、初めてデザイナー室に入室したとき、明るい窓辺の元で先輩女性のデザイナーさんたちがトルソーを前に忙しく働いている姿を目の当たりにして、ただ「働く女性はすごい、すばらしいな。」と感動したことは現在でも鮮烈に記憶に残っています。

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その後、パタンナーさんとか販売員さんとかとも話していても、世界は違っていたけれど、みんな一所懸命に働いている姿を見て再び「すばらしいな。」と感動したのでした。

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そして、バブル崩壊と共にアパレル業界を離れることとなります。

本日の一曲


きゃりーぱみゅぱみゅの映像にはどことなく90年代前半の頃の懐かしさが。


きゃりーぱみゅぱみゅ – 原宿いやほい , Kyary Pamyu Pamyu – HARAJUKU IYAHOI


SONY MUSIC TV CF 1991

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