25歳になった千尋_坂道のある風景

似たような風景は色々なところに見つけることができるのですが、いろいろな要素が素敵に配置された最高の風景はアニメの中にしかありません。

Webサービス全盛の時代

『千と千尋の神隠し』が公開されたのが 2001年。

同じ年ににアップルの「iTools」の日本語が開始されます。

それから15年という年月は、Webサービスの発展の年月でもありました。

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iTools の開始によって、「iCards」や、メールの「Mac.com」、ホームページ作成の「HomePage」、オンラインストレージの「iDisk」などのインターネットサービスを体験し始めます。(使い勝手が良かったかどうかは別の話です。)

その後 iTools というネットサービスは時代と共にその内容を変化させながら .Mac(2002年)MobileMe(2008年)そして現在の iCloud へと脈々と引き継がれています。

2005年

そして途中の 2005年あたりから Web 2.0 ブームによってブログ利用者数が急増、Google マップ、Gmail、Youtube などのWebサービスが開始、Wikipedia の日本語版も認知されるようになりました。このブログでも利用している WordPress もこの頃から充実し始めます。

15年ぶりのモデル探し

『千と千尋の神隠し』のモデルとなった風景探しに最新の Webサービスを利用するとどのような結果になるのでしょうか。

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ネット上にもモデルとなった地域や建物について多くの情報が溢れ、もう十分語り尽くされている感もある『千と千尋の神隠し』。

しかし、関係者以外の思い込みによる書き込みが事実のよう扱われていたりして、実際のところ何が本当なのかよく解らないという気持ちがあります。

そこでアニメのカットとネット上の現在とを比較して、自分なりに納得できるモデルを見つけようと考えたわけです。

利用するのは Google マップ の各機能。

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Google マップで地名や店名をキーワード検索。「航空写真」「地形」で確認。気になる地点は「ストリートビュー」をクリックで進めて、実際にドライブしたつもり雰囲気を確かめます。

今回はプロローグからタイトル画面まで、つまり荻野家一家が引っ越し先近くにたどり着くパンアップまでのわずか1分少々。

それでも、この部分だけでもいろいろな探し物が詰め込まれています。

ただ、15年という歳月が、風景や建物の外観を変えてしまっているかもしれません。果たしてどうなることやら。

流れ去る風景のなかに


Spirited Away – One Summer’s Day

プロローグに流れる「あの夏へ」。このビジュアルを目で聴くと、この曲が「雨滴」のもつ情緒をじつにうまく表現していることに気づかされます。降り始めの雨滴が、これから起こることへの予感させ、余滴の音がノスタルジックな雰囲気を醸し出しています。

父: 千尋。千尋、もうすぐだよ。

母: やっぱり田舎ねー。買い物は隣町に行くしかなさそうね。

父: 住んで都にするしかないさ。

スタジオジブリを起点として『千と千尋の神隠し』のオープニングで登場した東京近辺の場所をマッピング。

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店舗

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左下の「城山手」って何だろう。

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野立看板

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サインポール

健在なものも多く、実際に店舗として描かれている「旭が丘サイクルファーム」「とんかつ みのや」「小林自転車」や野立看板に店名のある「鎌田鳥山」「増田屋」、サインポールに描かれた「甲州屋」などを探し出すことができました。

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それらをマッピングしてみると、荻野一家はどうやら八王子を南西方向に移動している設定のようです。

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そして、坂道のある風景に到着。

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ここを右折して坂を登り終えたところに、宮崎ワールドの不思議世界が待っていました。いったいあの丁字路はどこなのかと多くの人から関心を持たれている風景です。

「風景というのは今まで見たことのあるものを自分の記憶で描いていますからね、違っているんですけど、共通したものもいっぱい持っているわけなんです。そこのところで自分の中で空間を作んなきゃいけない。」

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宮崎駿監督の絵コンテが先か、男鹿和雄氏の背景画が先か、コメントからすれば先に絵コンテありきのような気がします。それにしても絵コンテの指示をもとに完成度の高い「絵」として見事に描きあげるのは、まさに職人芸。

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今年、男鹿氏の『ねずてん』の舞台になった龍神温泉と護摩壇山を訪ねました。

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風景の断片

この坂道のある風景に部分的に似ているストリートビューをいくつか見つけました。(ただし、これはあくまで勝手な想像です。)

道路案内標識_門型柱

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国道20号線の甲州市勝沼柏尾交差点手前でみつけた、道路を横切る門型トラス構造に支えられた道路案内標識。その向こうに見える意匠のないコンクリート法面も雰囲気が似ています。

道路案内標識_国道21号

道路案内標識には「国道21号」とありますが、実際に良く利用する国道21号とはどうも雰囲気が似ていない気がします。絵コンテにわざわざ「国道20号のイメージ」と指示しているのに道路案内板には国道21号と書き込んだのでしょうか。

そこで、電柱に注目。

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GW(架空地線)キャップ

電柱の装備に目をつけた理由は、自分の住んでいる中部電力管内と装備品のデザインがかなり違い、目を引いたからです。
(ちなみに国道21号は中部電力管内。)

国道21号を岐阜県瑞浪市から滋賀県米原市までストリートビューで追ったのですが、電柱の先に使われているGWキャップは、中部電力型の腕金を四角錐に組んだようなのばかり。

国道20号沿線ではアニメと同じタイプを確認できました。

緑色の古い電柱共架アーム式道路照明灯

電柱の下から3分の1程に取り付けられている、下部にボックスの無い棒状のアームの形で緑色の照明灯です。

国道21号では道路照明灯のほとんどは独立して設置されていました。

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ところが、同様なものが国道20号線沿いにも見当たらないのです。たまに見つけてもランプの形状や長さなどが微妙に違うのです。

逆に、八王子市の長沼公園など多摩丘陵近辺にはこのタイプの照明灯を多く見かけます。

やはり、国道21号沿線ではなさそうです。しかも国道20号線沿いですらないかもしれません。(多分、国道20号イメージというのは、大都市近郊の古くからある通行量の多い街道という意味かもしれません。)

結局、電柱の形状も含めてやはりモデルの多くはやはり八王子付近なのかなと考え始めるようになりました。

今回、電柱についているさまざまな部品を調べるために、こんなサイトを見つけています。電力会社ごとに微妙な違いがあってなかなか興味深い内容。

電柱装柱資料館

電柱に取りつく変な生き物

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ところで、この電柱共架アーム式道路照明灯について、何度も画像を眺めているうちに、なんだか電柱にしがみついている頭でっかちで首の細長い小人やコアラのような生物に見えてきたのです。

道路案内標識_「中岡」方面

車のナンバーの地名を「多摩」から「多广+マ」に変えているなど、「中岡」という地名も「甲府」の文字の線を足したり引いたりして変形させたとも考えられます。

様々な要素を組み合わせた実在しそうで実際には存在しない風景なので、表示内容も同様にしたのかもしれません。

丁字路

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県道507号線上野原コモア下津西側入り口。

ここは男鹿氏が取材に行ったといわれている住宅団地の西側の入り口なのですが、ちょうど坂の上り口から少し行ったところが崩れていて、奥まっているところが似ています。

「グリーンヒル とちの木」の看板

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八王子市には、寺田町というところに「グリーンヒル」の名がついた住宅団地が。近くには「ゆりのき台」という名の地区もあります。

地形

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千尋の新しい家は、国道沿いの高い法面の上にある斜面見える軒並みはまだ中腹なので、さらに同じぐらい登った頂にあるようです。

『耳をすませば』の舞台となった聖跡桜ヶ丘は川沿いからの標高差が60mぐらいですから、千尋の新しい家と国道との標高差は100mぐらいにもなるでしょうか。そして坂の勾配は20%ぐらいでかなりきつそう。

物語の舞台となったのは、山梨県の「上野原コモア」ということになっているらしいのですが、ストリートビューでその周辺をいろいろ観察しても、どうもしっくりしない風景。

灯台下暗し、案外『耳をすませば』のモデルとなった多摩市の京王線聖蹟桜ヶ丘駅周辺からの眺めのほうがピッタリします。

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京王線聖蹟桜ヶ丘駅周辺からの眺め。

案外、八王子周辺の色々な部分の風景を再構築して作り上げていると考えたほうが素直なような気がしてきました。


今日の1曲

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さらに21年も過ぎてしまった、あの懐かしい『耳をすませば』の風景を実写とともにどうぞ。


Whisper of the Heart – Real Life Locations / 耳をすませば – 多摩ニュータウン

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