また来る夏が懐かしい。

4月30日、ベン・E・キング 氏が 米ニュージャージー州の病院で亡くなりました。

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思い出すのはあの名曲「スタンド・バイ・ミー」。ご存知、4人の少年たちが死体探しの旅に出かける、ひと夏の冒険物語『スタンド・バイ・ミー』のテーマ曲ですね。


Stand By Me • Ben E. King [HD]

偶然、様々な家庭事情の子供たちが集まり、そしてまた別々の人生を歩んでいく。その後にもいろいろな出会いがあるのですが、人生における特別な日としてそのときの出来事が懐かしく想い出される。人生の不思議さについて考えさせてくれました。

たぶん「スタンド・バイ・ミー」とはいっしょに人生に寄り添ってくれる『神』のことを指しているのでしょうか。

もうひとつの冒険世界

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確かに『スタンド・バイ・ミー』のような現実的な冒険もあるのですが、もうひとつ日本にあるのが、子供にとって不思議な世界を垣間見るための冒険。人間社会というよりは、人を越えた未知の領域に対する興味です。

この子供の頃の冒険は、ひとりあるいは仲の良い友人とふたりのことが多かった。大勢で行けば、意見の調整に時間がかかり、不思議の世界に紛れ込むチャンスを失うことも多かったからです。

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日本公開の歴代映画観客動員数ランキングの1位に2001年の『千と千尋の神隠し』2350万人という記録がもの語っているように、日本人にはそんな気持ちで子供時代を過ごした人も多いのかもしれません。

どう考えても宮崎駿監督の作品は、妖怪が跋扈する異次元の世界で活躍する少女の物語の数々。

ここに13年後の2014年に第2位として『姉妹』という複雑な女性間心理を描いた『アナと雪の女王』 2003万人が加わります。

こちらは、冒険というより心理モノ。同時に入念なマーケティング戦略の成功例。この商業的な成功を生み出した現在の社会は何を求めているのか。こちらはワールドワイドな流行でもありますので、日本というよりも世界の動向といったほうがいいのかもしれません。

どちらにしても男の子は脇役なのです。お金を払って劇場に足を運んだのは、はたして若い女の子なのか、母親たちなのか。この1位と2位の観客構成内容を知りたいものです。

かわりに『オバケのQ太郎』『ゲゲゲの鬼太郎』『どらえもん』から『妖怪ウォッチ』へと、男の子には分かり易い付喪神(つくもがみ)が活躍し、結界を越えて異境を垣間見る民話の世界が今様に姿を変え、営々と受け継がれる不思議の世界が日本にはあるようです。

不思議の世界への入り口

春の夜の、桜並木道の奥深く、散る花びらに見え隠れする朧げな扉の向こう側

暑さで緩んだアスファルトの足下が、ぬるっと滑るのを感じつつ、陽炎ゆらめく坂の向こう側

すすき野で、野分に吹き分けられて姿を現す、うたかたの道の果てる向こう側

ベランダで、見上げる雪が空中に留まるとき、地上が天に昇り始める。そこに見渡す雪雲の向こう側

そこには不思議の世界のすてきな風景がきっとあると思います。

エルマーのぼうけん
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冒険といえば、『エルマーのぼうけん』を小学生の夏休みの課題図書として読んだのは50年以上前。

福音館書店からの初版発行日が1963年07月15日ですので、多分日本で最初に読んだ世代となるのでしょう。続く『エルマーとりゅう』『エルマー18っぴきのりゅう』も課題図書となり毎年わくわくしながら読んでいました。

現在でも人気があるらしく、Amazon ベストセラー商品ランキングでも児童書の冒険部門で1位、童話部門で11位となっています。

暑い夏の昼下がり、蝉の声を聞きながらエルマーの冒険の世界にのめり込んでいった経験は、その後、夏という季節には不思議な世界への入り口があちこちに開いているようで、夏になればいつもその入り口を注意深く探す習慣となってしまいました。

実際に不思議の世界があるかどうかは、それは人それぞれ。

そして『エルマーのぼうけん』のさし絵。

どこかアンリ・ルソーの世界を彷彿とさせるそれは、キュビスムやシュルレアリスムにも感じられる幻想の世界へ幼い子供をやさしく誘います。幻想風を装いながらも奥行きを感じさせないゲームやビジュアルが蔓延する今の世で、幼少期の体験として純粋に想像力をかき立てる貴重なものかもしれません。

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Henri Rousseau

また来る夏が懐かしい。

本日の一曲


Patrick Kelly – Angel Of Light

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