リニア・エレベーター

手摺てすりの所へ来て、隣に見える東洋第一エレヴェーターと云う看板を眺めていた。

この昇降器は普通のように、家の下層から上層に通じているのとは違って、地面から岩山の頂いただきまで物数奇ものずきな人間を引き上げる仕掛であった。所にも似ず無風流ぶふうりゅうな装置には違ないが、浅草にもまだない新しさが、昨日きのうから自分の注意を惹ひいていた。

夏目漱石 行人

◼︎ ◼︎ ◼︎

垂直だけでなく水平方向にも移動できる磁気浮上(マグレヴ)方式のエレベーターシステム「MULTI」を、ドイツを拠点とする重工業メーカー、ティッセンクルップ社が開発しているそうです。


MULTI – the world’s first rope-free elevator system

01.12.2014
MULTI – the world’s first rope-free elevator system
Revolution: MULTI – ThyssenKrupp develops the world’s first rope-free elevator system to enable the building industry face the challenges of global urbanization. MULTI is ThyssenKrupp’s latest offering in its extensive repertoire of elevator technologies.

今年の5月、このブログにこんなことを書いていました。

明晰夢体験_エレベーター

夢の中でのエレベーター体験もジェットコースターのようでおもしろいのです。

普通に1Fからエレベーターに乗って上昇するのですが、途中でビルの中を突き抜けて外壁を斜めに登り始めるのです。窓の下は高層ビルから地上を見下ろしている感じ。上に行くほどジェットコースターのように曲がりくねった経路をたどりながらやっと屋上に到着です。

ま、夢だと意識していますのでそんなに怖くはありません。夢が暴走してエレベーターの箱が落下を始めたら、地面を低反発フォームにしてしまえば済むことです。

奇妙な夢を見ることができる人たちについて_ SUDAREの部屋

この夢を見ていたのは20代の頃。30年後の今になって実際に現実のものとなるとは思いませんでした。

ティッセンクルップ社の計算によると、ニューヨークの会社員が1年間にエレヴェーターを待つ時間は、全員を累計すると16.6年。エレヴェーターの中で過ごす時間は5.9年だというが、こうした無駄な時間が解消されることになる。

WIRED

しかし、高層化・巨大化するビルの移動効率の悪化とリニア技術の進展を考えてみれば、現時点で出現してもおかしくはありません。

実際のシステムはビル内のシャフトを垂直・水平移動するシステムのようで、ビルの外側に飛び出て壁をも自由自在とはいかないようですが、次には実現するかも。

◼︎ ◼︎ ◼︎

wpid-20141206_01-2014-12-6-03-56.jpg

二人は浴衣ゆかたがけで宿を出ると、すぐ昇降器へ乗った。箱は一間四方くらいのもので、中に五六人這入はいると戸を閉めて、すぐ引き上げられた。兄と自分は顔さえ出す事のできない鉄の棒の間から外を見た。そうして非常に欝陶うっとうしい感じを起した。

「牢屋見たいだな」と兄が低い声で私語ささやいた。
「そうですね」と自分が答えた。
「人間もこの通りだ」

 兄は時々こんな哲学者めいた事をいう癖があった。自分はただ「そうですな」と答えただけであった。けれども兄の言葉は単にその輪廓りんかくぐらいしか自分には呑み込めなかった。
 牢屋に似た箱の上のぼりつめた頂点は、小さい石山の天辺てっぺんであった。そのところどころに背の低い松が噛かじりつくように青味を添えて、単調を破るのが、夏の眼に嬉うれしく映った。そうしてわずかな平地ひらちに掛茶屋があって、猿が一匹飼ってあった。兄と自分は猿に芋をやったり、調戯からかったりして、物の十分もその茶屋で費やした。

夏目漱石 行人

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中