残されていた二枚の紙切れ_鳴子ダイエー物語 8

「鳴子ダイエー物語」を書き終えた直後に見つけた二枚の紙切れ。

ひとつは日進堂書店の紙製ブックカバー。

日進堂書店

日進堂書店の紙製ブックカバー

 

10年ほど前まで名古屋に住んでいた多くの方には記憶にあると思います。これは当時の鳴子店のものではないのですが、その日進堂書店自体が2004年ごろに倒産してしまい、もう手に入れることは難しいでしょう。ただ、この地区での老舗チェーンでしたので実家の本棚には残っているかもしれません。

広隆寺弥勒菩薩仏面

なぜここに仏面なのか疑問に思っている方も多いでしょう。これは鳴子のダイエー鳴子店の「日進堂書店」で購入したものの唯一の生き残りなのです。正確に言えば、集英社の日本美術絵画全集を予約した方へのプレゼント。『週刊少年ジャンプ』などの娯楽雑誌で有名な集英社が美術出版とは意外なのですが、当時はブームだったのでいろいろ全集が出版されていました。

最後の「紙出版」の美術全集

最近の本の話題といえば、昨年から始まった20年ぶりの小学館の日本美術全集全20巻があります。

小学館の『原色日本美術』(1966‐1972)が空前の美術出版ブームを巻き起こし、学研版『日本美術全集』(1977-80)、講談社版『日本美術全集』(1990‐94)、小学館版『世界美術大全集(西洋編・東洋編。日本美術は含まず)』(1992‐2001)と続いています。しかし、このあたりで、美術全集の刊行は途切れてしまう。

日本美術全集の刊行にあたって_日本美術全集

「日本美術全集 」TVCM

本格的な日本美術全集は、1990年刊行開始の講談社版以来。東京大学名誉教授の辻 惟雄氏が編集委員を務め、「奇想の画家」として注目を集める若冲を前面に出すなどして、近年の研究や人気動向を踏まえて美術史を編み直しています。バブル崩壊以降「失われた20年」の間、日本美術全集が刊行されていなかったのは驚きです。これも近年の若冲ブームのおかげでしょうか。それとも何か日本の潮流が変化し始めたのでしょうか。

ギョッとする江戸の絵画の若冲

編集委員の辻 惟雄氏には、

『奇想の系譜-又兵衛、国芳』美術出版社 1970年
『若冲』東京美術出版社 1974年

NHK教育テレビ「知るを楽しむ この人この世界」「ギョッとする江戸の絵画」2006年10月/11月

第1回 血染めの衝撃 ~岩佐又兵衛
10月2日放送/10月9日再放送
第2回 身もだえする巨木 ~狩野山雪
10月9日放送/10月16日再放送
第3回 「自己流」の迫力 ~白隠
10月16日放送/10月23日再放送
第4回 奇想天外の仙人たち ~曾我蕭白
10月23日放送/10月30日再放送
第5回 絵にしか描けない美しさ ~伊藤若沖
11月6日放送/11月13日再放送
第6回 猛獣戯画 ~長沢蘆雪
11月13日放送/11月20日再放送
第7回 天才は爆発する ~葛飾北斎
11月20日放送/11月27日再放送
第8回 機知+滑稽・風刺の心 ~歌川国芳
11月27日放送/12月4日再放送

『ギョッとする江戸の絵画』羽鳥書店 2010年

『芸術新潮』2012年7月号より、自伝「奇想の発見 ある美術史家の回想」を連載。

という履歴があり、どうもNHK教育テレビの「ギョッとする江戸の絵画」シリーズから一般の若冲への評価が変わってきたような気がします。

このシリーズを観たとき自分は、若冲の絵自体は、中学校の美術の副読本に載っていた記憶があるので驚きはしませんでしたし、幼少の頃からの水木しげるワールドの住人としては、その世界をもう少しモダンにした絵画といった印象でした。水木しげる先生も江戸時代の絵巻から妖怪像を借用していることもあったり、江戸時代にはすでに「漫画」は存在していたので絵画表現の時代的な違いに驚いたりもしませんでした。

ロゴマーク

もうひとつが、20年ほど前のダイエー鳴子店の折り込みチラシ。


たまたま、押し入れの天袋で探しものをしていたとき目に入ったのが、マグリットのポスターの包装紙。なんとなく手に取ってみるとなんと20年ほど前のダイエー鳴子店の折り込みチラシでした。あの長年親しんだ懐かしい二代目ロゴマーク(1975年~2005年)入りです。Helvetica Bold 書体で i の上のドット符号がないロゴと上弦の月をイメージさせるマークはモダンで完成度の高いものでした。


上部のマーク幅にあわせてロゴ幅をカーニング(詰め文字)したときに ”a” のセリフ(ひげ)が ”i” にかぶるため直線に修正しています。これが結果的に「 Helvetica」の改良書体である「Neue Helvetica」を10年先取りし、このロゴを長い間古臭く感じさせなかったのでしょう。

ダイエーの日本文化破壊

ダイエーはバブル崩壊後の1990年代後半から業績悪化が表面化して、その対策のひとつとして1995年に流通大手初の「元旦」営業開始します。その後は他の大手流通業者も真似をし始め、「年末の買い出しという歳事記」「ほとんどの国民が一斉に休みの日」「一年で一日だけお金があっても使えなく、子供たちが我慢をして夢を膨らませる日」そんな古き良き日本の元旦の役割を破壊したと考えていたのを思い出しました。

日本文化の破壊の象徴

10月10日は東京オリンピックの開会式(1964年)が行なわれた日。その記念日が今年は10月14日。

祝日をハッピーマンデー制度という記憶に残らない単なる休みにしてしまった愚行が毎年カレンダーに記載されています。これらも2000年前後に行われていますので、バブル崩壊後の景気対策と言えそうです。

成人の日(1月15日→1月の第2月曜日 2000年)
海の日(7月20日→7月の第3月曜日 2003年)
敬老の日(9月15日→9月の第3月曜日 2003年)
体育の日(10月10日→10月の第2月曜日 2000年)

 

では今日の一曲

ジョン・デンバーはあまり好きでなかったので、日本のみ発売のオリビア・ニュートン・ジョン版のカントリーロード。


Take Me Home, Country Roads – Olivia Newton-John 1976

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