インディアンとペガサス_鳴子ダイエー物語 5

当たり前だと思っていることが実は当たり前ではなかった。よくある話ですが、それが長い人生を過ごした後のこととなると驚きと同時に感慨深く感じるものです。 …


名古屋めしについて

地元で生活していて気付かなかったものにスパゲティがあります。

「鉄板スパゲティ」も「ヨコイのスパゲティ」も全国で食されていると信じていましたし、カレーをかけたスパゲッティは全国で「インディアンスパ」と呼ばれているものと思っていました。少し前の「名古屋めし」ブームの頃、極めてローカルなメニューなのを知ったときは驚きでした。でも美味しいことには変わりはありません。

ただ、「名古屋めし」という言葉は、ある会社が東京へ進出した際に考え出したものなのだそうですが、B級料理のようなネーミングには少々抵抗があります。不幸にしてマスコミを通じて広まったため全国化してしまい、地元の本来の美味しさでない味や食感が広まってしまいそうです。

とはいえ名古屋人は本物の味の店にせっせと通います。名古屋に訪れたときには地元の人がよく通う店を尋ねるたほうが間違いがないでしょう。そのとき初めて名古屋料理のおいしさに触れることができると思います。

また「あんかけ」というネーミングも、80年頃にある店がヨコイ風スパゲティソースのことを「あんかけソース」と命名したそうです。これも中華料理を想像させて、『ヨコイのスパゲティ』の美味しさを連想させることはできません。

『ペガサス』

ダイエー鳴子店の開店当時、食事をできるのは『寿がきや』というラーメンチェーン店と洋食レストランの『ペガサス』しかありませんでした。ですから昼時にもなると列ができるほど流行っていました。

コックシャツに白のコックキャップをかぶった太りぎみのコックさんと小柄で少々老けたな店長さんが出迎えてくれた『ペガサス』は、右側にレジのある入り口の正面奥にはのっぺっりとした白く背の高い壁となっていて、薄いチェック柄のクロスが掛けられた4人掛けテーブル5台ほどと、サンプル展示棚と壁の角にはさまれたテーブルと2客の椅子。確かこの店は調理台が高い位置にあって、ちょうどお客さんを見下ろすような感じだったと記憶しています。そして何故かウエイトレスさんがいた覚えがありません。

途中『ペガサス』は閉店してしまいましたが、コックをやっていた方はその後もダイエー鳴子店の社員食堂で腕を振るっていたようです。

指定席はサンプル展示棚の裏側。

何故かそこが落ち着いてゆったりと食事をすることができたのです。この『ペガサス』でのお気に入りのメニューは「インディアンスパ」。簡単にいえばカレールーがかけられたスパゲッティなのですが、初めて注文した時には多少混乱しました。

それまで給食でソフト麺のカレーうどんというのは食べていましたし、うどん屋には「カレーうどん」というメニューもありました。ですから「カレースパゲッティ」というメニュータイトルであれば簡単に理解できたのですが、「インディアンスパ」という名前では、その内容を想像することはできなかったのです。というか、アメリカン「インディアン」のスパゲッティとは何か分からなかったのです。

運ばれてきたものを見てひと安心。カレーのかけられたスパゲッティということで、アメリカン「インディアン」ではなくインドのことだったのです。考えてみれば、「インディアン」自体、コロンブスがカリブ諸島をインド周辺の島々であると誤認し、アメリカ先住民をインディアンと呼ぶようになったわけで、直訳すればインド人の意味なのでした。

カレーについて

カレーといえば、子供の頃は肉屋さんの店頭で売られていたヱスビーとオリエンタルが双璧。

オリエンタルの「オリエンタル即席カレー」「マースカレー」ハヤシもあるでよの「スナックカレー」対してヱスビー食品はインド人もびっくりの「特製ヱスビーカレー」。そのほかハウス食品工業の「印度カレー」「バーモントカレー」それに江崎グリコの「ワンタッチカレー」などもありましたっけ。
オリエンタルカレーの唄

あとは父親がどこからか手に入れてくる米国製のカレー缶。

長じて、ホテルカレー、インド料理、タイカレーといろいろ遍歴しましたが、最近ではハインツのカレー缶と薄っぺらいスプーンとプラスチックコップの水で食べる昭和な黄色い豚コマカレーのふたつに落ち着いています。

味を感じる味蕾の増加ピークは学童期まででその後は減少しますので、学童期にかけて多くの種類の食材や料理を味わう経験を積み重ねることで味覚は発達し、同時にその経験が食物の“おいしさ”としても記憶されるそうです。

子供の頃の味覚の記憶は「三つ子の魂百まで」なのだと実感しているこの頃です。

今日の一曲はインディアンスパとは何も関係のない「嘆きのインディアン」。


Paul Revere & The Raiders – Indian Reservation (Cherokee People) 1971

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