退屈な理由

どれをとっても所有したくないデザイン。こう思い至ったところに『WIRED』の記事。 …


インダストリアルデザインの傑作

Galaxy S4。それにしても、おそろしくバランスの悪いデザイン。『WIRED』によれば、これが現在のインダストリアルデザインの傑作なのだそうです。(ただ実装技術だけでみればそれなりの評価はできるかもしれません。)

全体とパネルの比率と角丸のカーブのアンバランスさ。ボタンの形状と配置。どれをとっても所有したくないデザインなのです。

しかし、世の中の大半の人々は、そんなこと気にも留めないでしょう。まあまあのスペックで安ければみんな同じ、使えればいい。提灯記事にはインダストリアルデザインの傑作と書いてあるので、たぶんいいデザインなのだろうと疑問も持たずに手に入れるひともいるのでしょう。

その昔の電話機を思い出してみれば、そこにはさまざまな消費者のニーズがあり、ガジェットから高級デザインまで多種多様な製品が店頭に並んでいました。よく考えてみると、スマートフォンも単なる現代風の多機能電話のひとつに過ぎないのです。

素晴らしくも退屈な理由

こう思い至ったところに『WIRED』の記事。

「現時点で世界最高のスマートフォン」とか「インダストリアルデザインの傑作」といったクライアントにおもねる美辞麗句は余分ですが、「退屈な理由」は妙に納得できます。

Galaxy S4 は現時点で世界最高のスマートフォンと言っていい。ただし、そんな最高の端末は、同時にまったく面白みのない製品でもある。スマートフォンは革命というよりも、進化の段階に入っている。

Galaxy S4は現時点で、世界最高のスマートフォンと言っていい。同端末は、サムスンの最新「Exynos 5」プロセッサ(またはクアルコムの「Snapdragon S4」プロセッサ)や、比類なき美しさを誇る5インチフルHD「スーパーAMOLED」液晶画面など、最高のハードウェアを搭載している。また、最新版のAndroid OS(ver4.2.2)により、格段に滑らかな操作性を実現している。そのほか歩数計などのヘルスケア関連機能や自動翻訳、様々なエアジェスチャー操作など新たな機能も多数追加。そして、これらすべてが約7.9ミリの極薄ボディに詰め込まれている。これはインダストリアルデザインの傑作とも言うべきものだ。

ただし、そんな最高の端末は、同時にまったく面白みのない製品でもある。私はiPhone 5の発表時にも同じことを記していたが、実際にこの面白みのなさというのは、Android OSやiOSを搭載する現代のあらゆるハイエンド端末に言えることである。数年前にあったような驚きがもたらされることはいまやなく、そしてそれは素晴らしいこととも言える。

現在、出回っているすべてのハイエンド端末には、最低でも次のような機能や特徴が求められている。

・素晴らしいインターフェイス

・ピクセル密度の高い液晶

・最高の前面/背面カメラ

・超高速プロセッサ

・4G(LTE)への対応

・複数の携帯通信事業者で利用できること

・膨大な数のアプリがあるappストア

・抜群のインダストリアルデザイン

サイズに関しては試行錯誤が繰り返されているものの、すでに端末のフォームファクタはほぼ完璧なものになっている。また、ボディの素材は様々だが、ますます改良されている。ソフトウェアも改善し続けており、アップグレードの度にSiriやS-Translateのような驚くべき新機能も追加されている。

こういったことから言えるのは、現時点で購入できるあらゆるフラッグシップ端末が素晴らしい体験を約束するだろうということだ。なぜなら、これらは開発に開発を重ねた結果、洗練されてきたものだからだ。だが、これらが人々の心を揺さぶったり、多くの疑問を抱かせるようなことはない。実際、ユーザーらはとにかく面白い携帯電話が欲しいというわけではないかもしれない。あなたの携帯電話を見て、人々が立ち止まり、質問をするようなことがあれば、それはその端末が誰も買わないようなものだからかもしれない。

今年発売される端末のなかで、現時点でもっとも純粋に興味深いのは、Blackberryの「Z10」かもしれない。この端末はインターフェイスを一新し、極めて優れたハードウェアも備えている。同端末に興味を惹かれる理由は、それが誰も見たことのないものだからだ。ただ、アプリケーションの選択肢の少なさやBlackberryの先行きが不鮮明なことを考えれば、この端末を手放しに最高のものと言うことはできないだろう。Z10は確かにクールだが、多くのユーザーが欲しがるとは思えない。また、同じく「Lumia 920」や「HTC 8X」なども非常に興味深い端末だが、Windows 8プラットフォームのappエコシステムは未成熟で、端末が売れなければエコシステムは充実せず、エコシステムが充実しなければ端末も売れないという「鶏が先か、卵が先か」の問題がある。

スマートフォンは革命(revolution)というよりも、進化(evolution)の段階に入っている。人々の持つスマートフォンは、彼らの生活の単なる一部になっており、その存在感は薄れている。そして、それ自体が驚くべきことだ。

スマートフォンは見事に成熟した。そしていまもっとも面白いガジェットは、「Google Glass」や噂されるアップルの「iWatch」、ヘッドマウントディスプレイの「Oculus Rift」のような、われわれが見たことのないものだ。

WIRED

単なる広告戦略

ただマスコミが、クリエイティブ企業としての Apple の存在をアソート企業のサムスンと同列に扱うと問題が生じます。単なる製品スペックの比較記事ならまだしも、クリエイティブという文化にまで話題を発展させると、内容に矛盾が生じて、記者のレベルを世に曝すことになります。

GS4発表で話題になったのは、The Vergeが「まったく奇妙」と評し、CNETのモリー・ウッドが「ショックなほど(時代錯誤で)性差別的」と息巻いたミュージカル仕立てという発表形式と、ニューヨークという舞台でした。舞台演出には細かな部分まで逐一、ソウル本社にお伺いを立てなくてはならなかったそうです。

サムスンの話題提供は、単に収益率をあげるために、その生い立ちから決して手に入れることはできない「ブランドステイタス」と「知名度」が欲しいがための単なる広告戦略なのですから。

同様なことはソフトバンクにも言えそうです。



「ブランド・ジャパン2012」

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