ネイティブアメリカン・ミュージック_トリオ

AH NEE MAH のことを書こうかと思っていたら、ビデオクリップを見ていてこのトリオのことになってしまいました。 …

知名度からいえば R. Carlos Nakai から始めるところですが、このビデオクリップがお気に入りなので Will Clipman から。


Planet of Percussion with Will Clipman

フレームドラムとは世界最古と言われている片面太鼓のことで、ネイティブ・アメリカン・ドラムもフレームドラムの一種です。

日本の和太鼓のリズムは「地震」のイメージ。地面の下に深くうごめく抗しがたい巨大な自然の力を感じさせます。それに対してネイティブ・アメリカンのドラムのリズムは「拍動」のイメージです。

ネイティブ・アメリカンはアジア大陸からベーリング海峡を渡ってアメリカ大陸に移動していったアジア系の人種ですから、北アメリカにはもともとネイティブ・アメリカンの太鼓文化が存在したわけです。

そしてアジア的なものを残しながら北アメリカの気候風土にあった独自のリズムを奏でるようになったのでしょう。そのリズムのなかに深く潜んだアジア的なものを感じ取る日本人がいても不思議ではありません。

心臓の拍動と体重

心臓の拍動と動物の体重には一定の関係があります。

寿命を心臓の鼓動時間で割ってみよう。そうすると、哺乳類ではどの動物でも、一生の間に心臓は20億回打つという計算になる。寿命を呼吸する時間で割れば、一生の間に約5億回、息をスーハーと繰り返す計算できる。これも哺乳類なら、体のサイズによらず、ほぼ同じ値となる。 物理的時間で測れば、ゾウはネズミより、ずっと長生きである。ネズミは数年しか生きないが、ゾウは100年近い寿命をもつ。しかし、もし心臓の拍動を時計として考えるならば、ゾウもネズミもまったく同じ長さだけ生きて死ぬことになるだろう。小さな動物では、体内で起こるよろずの現象のテンポが速いのだから、物理的な寿命が短いといったって、一生を生ききった感覚は、存外ゾウもネズミも変わらないのではないか。
『ゾウの時間ネズミの時間 サイズの生物学』本川達雄

R. Carlos Nakai

R.Carlos Nakai at the Santa Fe Indian Market

ドラムが拍動ならネイティブ・アメリカン・フルートは呼吸。

フルート(Flute)は木管楽器の一種。リードを使わないエアリード楽器であり、唇から出る空気の束を楽器の吹き込み口の縁にあてることで発する気流の渦(エッジトーン)を発音源とする。

特殊奏法

エオリアン・トーン(ブレス・トーン) 発音と同時に息が歌口や歯の間から漏れる噪音を発する奏法。通常の奏法からライザー部にあてる空気の柱を極端にぼかすことにより生じる。楽音は存在するが空気の流れる音の占める割合のほうが大きい。この割合が作曲者によって細かくパーセント記号で指示されている物もある。

むら息(ブレス・ノイズ、尺八奏法) エオリアン・トーンをより激しくし、アクセントを加えた奏法。曲によっては日本の尺八を想起させる。尺八奏法というとこのむら息と同時に激しいビブラートも組み合わせる。日本古来の伝統的な楽器、奏法の為、外国の奏者に正確にこれを伝えることに関しては困難が予想される。

フルート_Wikipedia

 

英語では Bamboo Flute とも呼ばれる「尺八」は日本の伝統的なエアリードの木管楽器です。この尺八のブレス・ノイズの奏でる音は、ビブラートとは違う独特の「かすれ」音に最大の魅力があります。たとえば日本人は「虫のノイズ」ではなく「虫の音」と表現してするのと通じるところがあります。

虫の音だけでなく、そのほかの動物の鳴き声、波、風、雨の音、小川のせせらぎまで、日本人は言語脳で聞いているそうです。つまり日本人というより日本語の特性かも知れません。ですから人種というより育った母国語の違いが関係しているのかもしれません。

周期ゼミ

たくさんの蝉が鳴くのを「蝉しぐれ」と表現する日本人でも2004年 5月 、17年ごとに大発生する「17年ゼミ」が、アメリカ東部で少なくとも数十億匹がいっせいに羽化という状況ではやはりそれは「ノイズ」かも知れませんね。

13年か17年で大発生するセミ:謎を日本の研究者らが分析_Wired

 

 William Eaton

そして R. Carlos Nakai と William Eaton のデュオ。


R. Carlos Nakai & William Eaton ~ Winter Dreams

ハープギターは通常のギターに、ハープの様にいくつかの弦が取り付けられた楽器です。

その音色は「水の流れ」のイメージ。乾いた感じのエレクトリック・ハープギターはさらに「気の流れ」も感じさせます。自然の流れですね。

ハープの起源は狩人の弓ではないかと考えられているそうです。日本の伝統楽器にも琴(こと)という弦楽器があります。

古代日本では、人間が息を吹き込まねば演奏できない管楽器よりも高尚なものとされた「こと」と呼ばれる弦楽器は「琴」「箏」「和琴」などがあってややこしいのですが、弦を押さえる場所で音程を決める「琴」が近いかも知れません。琴は伊勢神道の書物『御鎮座本紀』には、「アメノウズメが天香具弓(あまのかぐゆみ)を並べて叩いたのが琴の始まり」と記述されており、中世神話上では、その起源を「女神が並べた弓から始まったもの」と解釈されたそうで、起源の考え方はよく似ていますね。

William Eaton
William Eaton_Official Site

R. Carlos Nakai, William Eaton & Will Clipman

それではお三方揃ったところで、本日の締めはこちら

Nakai, Eaton & Clipman “Prelude to a Storm”

2010年 53回グラミー賞ニューエイジ部門では彼らの「Dancing Into Silence」がノミネートされています。

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