時を超えた自然の叙事詩

地上波の本局がBS放送に力を入れ始めると番組の質が落ちます。

続編:「Timeless Ⅱ」についてはこちら。
スピリットランド:アメリカの砂漠の旅

BSと地上波

それは地上波TVを観ている視聴者層を想定した視聴率を前提とした番組になってしまうからです。そんなものは地上波で十分で、BS で放送する必要もありませんし、第一、視聴者層が違うことを理解していない。これから TV が生き残ろうとするならば、逆に BS の感覚を地上波に生かさなければならないというのにです。

昔からBS放送は経験することなのですが、開始の頃は低予算で、「お金はないけれど時間と自由だけはいっぱいある。」状態なのですね。これはある意味クリエイティブには理想的な環境で、それが新しいことへの発想とチャレンジを可能にしているわけです。

たとえば、

NHK のBS放送でも同様でした。「ウインブルドン・テニス」の中継で雨のため開始が順延になっているあいだ、開始を待っている観客席の人々を延々と流していました。ま、こちらも暇だったのでお付き合いをしてそれを延々と眺めていたのですが、しばらくすると不思議なことが起きました。なんと自分もその観客席に座って開始を待っている観客のひとりになってしまったのです。この臨場感、今でも忘れることができません。

ジョン・マッケンローは日本でも高い人気を誇ったが、これは彼の活躍した時期が衛星放送などの普及により、海外のテニスの試合を生中継で見る機会が増えた時期と重なっていることが大きいと考えられる。

wikipedia
2002年公開の『Mr.ディーズ』へのカメオ出演にはびっくりさせられました。


メルギブソンと似ていた頃のアガシ。しかし自叙伝「Open」の中で、1990年の頃のたてがみの様な長髪はカツラで、ブルック・シールズの説得により1994年末にスキンヘッドにしたと告白。

冗長な時間の垣間から

人体の能力では処理することのできないあまりにもゆっくりした(あるいは速い)動きを、人間の認識できるスピードにすることで見えてくるものがあります。
そのとき自然界には、さまざまなスピードの時間の層が多重に折り込まれていることに気づかされます。

人はそのうちの認識できるごく一部の瞬間を切り取って見ているに過ぎません。
気づかないものに気づかされる。そのとき人は何かを感じ、感動するわけです。

見上げる空に瞬く星々は、それぞれ違った時間に発せられた光を見ているわけで、今そこに実際に存在しているとは限りません。

BS だからできること_Timeless

地上波ではオンエアされる可能性はほとんどないと考えられるプログラムに BS11の 「Timeless」 があります。

この「Timeless」、2003年に発売されたDVD 『Timeless: A National Parks Odyssey』を流しているわけですが、特殊カメラによる映画撮影技術を駆使し、北米大陸にある18ヶ所の国立公園の壮大なる美をハイビジョンで映し出します。ただ、特別番組扱いなので定時にやっているわけではなさそうですが、時間調整のためにときどき観ることができます。

Timeless: A National Parks Odyssey

この『Timeless: A National Parks Odyssey』、『2001年宇宙の旅』を完全に意識していると思われます。
タイトルからして、2001年宇宙の旅の原題「2001: A Space Odyssey」。
宇宙ではなく自然公園をテーマにした叙事詩といったところでしょうか。

このシーンどこかでみたことがあるなと思い出してみると「Jupiter」の章でボーマンが別の星に送り込まれるスターゲートを通過する時に見る他の恒星の風景と似ています。

キューブリックはこのシーンを地球での空撮映像に光学的処理をしていたのですが、この「Timeless」は現在の映像テクノロジーを駆使して、それをさらに推し進めています。その結果、見えていても見ていなかった世界が出現したのです。

特殊撮影の専門家ではありませんので詳しいことは分かりませんが、その撮影技法はインターバル撮影やスパイダーカム、あるいは、RADCAM(映像撮影用ラジコンカーカメラシステム)も使用しているのかもしれません。とにかく膨大な時間と労力が必要だったと想像されます。

Spydercam スパイダーカム

この『Timeless: A National Parks Odyssey』を観て驚いたのは、その映像もさることながら、バックグラウンドに流れる曲でした。そう Patrick O'Hearn なのでした。過去ログ「2001年宇宙の旅と音楽_タンジェリン・ドリームを継ぐもの達」でも書いたように、タンジェリンドリームを抜けたピーター・バウマンが1984年に設立したレーベルのプライベート・ミュージックで最もお気に入りのミュージシャンです。
彼の曲が20年後再び、それも TV で流されることは想像もできませんでした。

Patrick O'Hearn

アッテンボローの里山

同じような映像の名作に「アッテンボローのSatoyama(英語版)映像詩 里山 ~命めぐる水辺~」がありますが、どちらにしてもこころの奥深くに何かを伝えてきます。
とくに特典映像の「アッテンボローのSatoyama(英語版)映像詩 里山 ~命めぐる水辺~」(英語収録/語り:デビッド・アッテンボロー/日本語字幕つき)がお薦め。
NHK スペシャル 映像詩 里山 命めぐる水辺

大人の自由時間で起きたこと

BS11の開局当初、看板番組の一つに位置付けられていました。スタジオセットはなく、上下左右すべてをクロマキー合成できる、「VR360」方式のスタジオから放送されています。つまりバーチャルな風景をバックとして放送されていたのです。

月曜日の「西川のりおの言語道断」と木曜日の「喬太郎の気楽に粋ましょう!」はつまらないのですぐチャンネルを切り替えたのですが、水曜日の「なぎら開宝計画!」は最高でした。

お店丸ごとお取り寄せ
東京の名店をVR360を使って再現。お店から取り寄せた食事と酒を楽しむコーナー。
52年ぐらい会
1952年生まれのなぎらが1952年前後生まれの仲間と飲みながらトーク。
ウンチクリサーチ隊
番組後半のなぎペディアに記載してほしい「ウンチク」を作り出すリサーチコーナー。
なぎペディア
ウンチク四天王のなぎらが贈る視聴者参加型ウンチク百科事典。

ところが「大人の自由時間は2009年4月で終了。月曜日の『西川のりおの言語道断』と木曜日の『喬太郎の気楽に粋ましょう!』は独立番組となったのです。ここでも地上波の本局がBS放送に力を入れ始めると番組の質が落ちる現象が起きたわけです。結局この時間帯は BS11 を観ることはなくなりました。

http://ja.wikipedia.org/wiki/大人の自由時間

新しい可能性の芽生え

この「バーチャルスタジオセット」は可能性を秘めていて、近いうちに大げさな装置を用意することもなく、YouTube あたりが提供するクラウドバーチャルスタジオセットに送り込んだ映像と合成できるようになり、そこにプロもアマチュアも玉石混交で映像を配信して洗練されることになるでしょう。そのときに、ますます TV の存在価値が問われるかもしれません。

その前哨戦として「なぎらTV」があります。
なぎらTV~ あの頃ぼくらは若かった 「まんが」 歌謡ポップスチャンネル

付録:過去ログメモ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
公開日:2006/12/1619:24
2001年宇宙の旅と音楽_タンジェリン・ドリームを継ぐもの達

タンジェリン・ドリームの音楽性を発展させた「ヴァンゲリス」「ウインダム・ヒル」「プライベート・ミュージック」そして「シネマ・ミュージック」
「ヴァンゲリス」

Vangelis1974年デビューした-ギリシャのシンセサイザー奏者

炎のランナー/南極物語/ブレードランナーなどのサウンドトラックのヒットでメジャーなアーチストとなってますが、出会いはもう少し前の「Ignacio(1975)」からです。その後LPを集め始めましたが、途中でCDに切り替えたためもう一度すべて買い替えています。そんなコレクションでしたが、事情があって手放し「TheCity(1990)」だけが手元に残っています。これはヴァンゲリスのなかでも最も好きな作品でしたので、手放すことができませんでした。タンジェリン・ドリームの「LeParc(1985)」と共通するモダンさが最高です。

ヴァンゲリス
ドイツで1969年に創設されたレーベルに「ECM」があるのですが、代表的ミュージシャンとしてキース・ジャレットやチック・コリアの名があり、透明感のあるサウンドを特徴として多くのジャズ、現代音楽の作品を製作しているので有名です。(キース・ジャレットのケルンコンサートは最高でしたね。)このサウンドに触発され、さらに「自然」をテーマに導入したのが、「ウインダムヒル」です。

「ウインダムヒル」

1976年にウイリアムアッカーマンとその妻によって設立されたレーベル

こちらはNewAgeジャンルの先駆的存在であまりにも膨大な作品数なので避けますが、LP時代は集めたのですが、CDに変わってから意外と集めていません。途中で飽きたのかも…「Linus&Lucy-TheMusicOfVinceGuaraldi(1996)」と「Autumn(2001)」

ウインダムヒル
ウインダムヒルがアコースティックなら、シンセ系はプライベート・ミュージックがあります。

「プライベート・ミュージック」

タンジェリンドリームを抜けたピーター・バウマンが1984年に設立したレーベル

パトリック・オ・ハーン/ヤニー/ジェリーグッドマン/スザンヌチアーニなどのNewAge系の大御所が所属し、一時期タンジェリンドリームもここからアルバムをリリースしています。

・OpticalRace(1988)・LilyontheBeach(1989)・MiracleMile(1989)・Melrose(1990)
このうち「Melrose(1990)」はタンジェリン・ドリームの数ある作品のなかでも最高傑作のひとつではないでしょうか。
所属していたミュージシャンのうちヤニーは現在でもNewAgeジャンルの常連になっていますが、やはりお勧めは「パトリック・オ・ハーン」です。タンジェリン・ドリームをソフィスケートした非常にしゃれた曲調が印象的です。
TopArtiststagged“newage”
・AncientDreams(1985)・BetweenTwoWorlds(1987)・RiversGonnaRise(1988)・Mix-Up(1990)
パトリック・オ・ハーン

「シネマ・ミュージック」

自然がテーマのNewAgeMusicからさらに一歩踏み込んだニュープログレッシブのために1987年に設立された。

どうもプライベート・ミュージックの二番煎じの感じがしてあまりついていけませんでしたが、マイケル・ホーニングは別でした。
マイケル・ホーニングはピーターバウマンがタンジェリンドリームを抜けているときにタンジェリンドリームに在席していたそうです。アメリカのレーベルと直接契約した初めてのドイツ人アーチストです。
・XceptOne(1987)
ざっと書いてみると昔からかなりジャーマンロックにけっこう傾倒していたみたいです。アモンデュール、アシュ・ラ・テンプル、ピーター・バウマン、カン、ホルガー・シューカイ、ファウスト、グル・グル等ジャーマンロックにもっと興味がお有りなら

ジャーマンロック
KRAUT ROCK.pdf

追伸
東芝は12月14日、関連会社で音楽ソフト事業を展開している東芝EMIの全株式を、英国EMIグループに売却し、同事業から撤退すると発表しました。長らくプログレのレーベルといえば「東芝EMI」でしたから、時代に流れとはいえ少々寂しさを感じます。

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