漱石と電子ブックとニューエイジ音楽 01

漱石と電子ブックとニューエイジ音楽。昨年の冬にハマった懐かしくも新しい世界。 …

昨年の冬に一冊の本を読みました。

読書といっても通勤電車内ですので、iPhone で音楽を聴きながらといったスタイルです。

題名は夏目漱石の『こころ』。

夏目漱石を読み返すのは実に三十数年ぶりでしょうか。

きっかけ

ものごとの始まりには、「きっかけ」というものがあります。

たまたま iPhone で面白いアプリがないかと探していたところ、「豊平文庫」という青空文庫のリーダーが目に留まりました。

「Amazon Kindle(キンドル)」が昨年10月から日本での発売が開始され、もうすぐ Apple が「iPad」(その当時は「iSlate」と呼ばれていました。)を発売するという噂を耳にして、
「そろそろ本格的な電子書籍の時代がくるのかな。」
と気になり始めていたところでした。

電子ブックは紙を超えるか_Asahi GLOBE(グローブ)

さっそく「豊平文庫」をインストール。

さて誰を読もうかと作家リストをつらつら眺めていて、ふと「夏目漱石」の名前に目が止まり、作品リストのページを開いてみると、題名には覚えがあるのに内容が思い出せない。漱石の作品は高校時代にほとんど読んでいたはずなので不思議でした。

そこでダウンロードしたのが『こころ』。

読み始めるとこれが意外に面白いのです。

現在の自分からみれば、登場人物が同年齢か年下です。その年代の心の葛藤が手に取るようにわかるのです。その面白さは、人生経験の乏しい高校生ではとうてい理解できなかったでしょう。それが記憶の底に忘れ去られた理由かもしれません。

よく『姿三四郎』と間違えられる『三四郎』

『こころ』があまりにも面白かった勢いで、 続いて『三四郎』をダウンロードして読み始めました。

よく柔術家ものがたりの『姿三四郎』と間違えられる『三四郎』ですが、その内容は、三四郎が大学入学後の4ヶ月に垣間みた、インテリ世界を描いています。

しかし、100年後の現在ではインテリも大衆化してしまい、美禰子のような女性もゴロゴロいて、もはやそれほど関心を引く題材ではなくなっています。

ただ感心したのが、漱石の「描写の巧さ」。

これにはちょっとした原因があり、この『三四郎』を読み進めるなか、この描写の感動をさらに高めるできごとが同時並行していたのです。

三四郎は氷河期世代の曽祖父母世代

ところで、『三四郎』は「朝日新聞」に1908年(明治41年)9月から連載が始まった小説です。とすれば、三四郎は、明治24年頃の生まれでしょう。

1970年~1986年に生まれた人々を氷河期世代と呼びますが、この氷河期世代は、その親世代、祖父母世代、曽祖父母世代に至るまで、就職難や大量解雇に遭遇した世代でもあるのです。

この氷河期世代の曽祖父母世代に当たる1880年~1894年生まれ(明治10年代~明治20年代生まれに相当)は、就職する時期には日露戦争後の反動不況(1900年代後半)に遭遇し、青年期には第一次世界大戦に遭遇した世代。

数年後、卒業してから就職浪人の苦労が待っている。

これが三四郎の現実の姿なのです。

本日の一曲


Sona – Secret_Garden

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